「お笑い第7世代」台頭が示すテレビの劇的変化 従来の価値観では視聴者に受け入れられない
2020年、もう一つの大きな変化はお笑い番組の急増だ。まず先鞭をつけたのが「有吉の壁」(日本テレビ)だ。2015年4月に特番として始まったこの番組は、いわばお笑いファン向けの番組だった。情報性はまったくなく、ただただ芸人たちがMCの有吉弘行に笑ってもらうため、サディスティックな無茶振りに応えながら笑いを作っていく。
そんな番組がレギュラー化されるというだけでも驚きだったが、その時間帯が19時台というゴールデンタイムだったことに驚愕させられた。そして多くの番組ファンは喜びと同じかそれ以上に不安を抱いた。
なぜなら、大好きだったお笑い番組が、ゴールデンに上がった後に、元の形からすっかり変わり、お笑い要素が削がれてしまったことを何度となく経験していたからだ。
収録が困難でも純粋なお笑い番組の形を貫いた
しかし、それは杞憂だった。「有吉の壁」はレギュラー開始とほぼ同時に緊急事態宣言により、収録が困難になったにもかかわらず、純粋なお笑い番組という形を貫いた。
そうしたなかで、特番時代にも「TT兄弟」を生んだチョコレートプラネットが「Mr.パーカーJr.」なるキャラでヒットを飛ばし、ジャングルポケットの「ストレッチャーズ」、トム・ブラウンの「アナグラム研究所」、パンサー・菅の「パラパラおじさん」など番組にとどまらず、別番組やCM等に起用されるキャラクターを生み出した。
きつねが立ち上げた「KOUGU維新」は、トム・ブラウンや空気階段、パンサー・向井など数多くの芸人たちを取り込み、音楽番組にも進出。さらに有料配信ライブとしてミュージカル化もされた。
ここで注目なのはこの番組で活躍する大多数の芸人が、いわゆる第7世代といった旬な芸人ではなく、毎回生き様を見せるような捨て身の芸で笑わせるとにかく明るい安村や、確かな実力のシソンヌ、タイムマシーン3号など、これまでネタ番組以外のバラエティ番組では力を発揮できる場がほとんどなくくすぶっていた芸人たちだということだ。
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