「お笑い第7世代」台頭が示すテレビの劇的変化 従来の価値観では視聴者に受け入れられない

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事の発端は賞レースでの若い世代の活躍だった。2018年、それまで苦節何年の“ベテラン若手”芸人が多く優勝していた「R-1ぐらんぷり」(現R-1グランプリ、関西テレビ/フジテレビ)で当時28歳だった濱田祐太郎が優勝。同年の「キングオブコント」(TBSテレビ)ではハナコ、「M-1グランプリ」(朝日放送テレビ/テレビ朝日)では霜降り明星が最年少優勝と、20代(ハナコの菊田竜大のみ30代)の王者が誕生したのだ。

「M-1」で優勝した霜降り明星のせいやは、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組「霜降り明星のだましうち」(朝日放送ラジオ)のなかで、「勝手に次の年号の世代、『第7世代』みたいなんつけて、ユーチューバーとか、ハナコもそうですけど、僕ら20代だけで固まってもええんちゃうかな?って」「名前つけたら、俺イケる気がすんねんけどな」と発言したのだ。

これが「第7世代」という言葉が初めてメディアに登場した瞬間である。2018年12月22日のことだ。その言葉がテレビや広告代理店主導で生まれたものではなく、芸人自身からというのが今日的だ。

第7世代と呼ばれるのは霜降り明星のほか、ミキ、EXIT、ゆりやんレトリィバァ、宮下草薙、四千頭身、かが屋、空気階段、納言、Aマッソら20代~30代初めくらいの年齢の芸人たち。また、年齢はやや上だが同時期に注目され始めたぺこぱ、金属バットらもここに含まれることが多い。

キャッチーな言葉がブームを牽引

ちなみに、お笑いを「第○世代」という枠組みで括るのは、1980年代後半に人気に火がついたダウンタウン、ウッチャンナンチャン、B-21スペシャルといった新人芸人たちを当時勃興していた演劇界の「第3世代」という言葉にならって「お笑い第3世代」と名づけブームを巻き起こしたのが始まりだった。こうしたキャッチーな言葉がブームを牽引することは歴史が証明している。

逆に、第7世代という言葉が生まれる前の2017年、霜降り明星、ゆりやんレトリィバァ、四千頭身、ハナコといった、まさに第7世代の中核となるメンバーが集った「AI-TV」(フジテレビ)という番組が制作されたが、話題になることもほとんどなくわずか半年で終了している。

テレビでは「ネタパレ」(フジテレビ)がおそらく初めて「お笑い第7世代」という言葉を使い、続いて「ENGEIグランドスラム」(同)がお笑い第7世代の特集コーナーを作った。

同時に「アメトーーク!」、「ロンドンハーツ」(ともにテレビ朝日)や「ゴッドタン」(テレビ東京)といったいわゆる純お笑い番組の多くがこの世代の芸人たちを積極的に起用するようになっていく。謹慎していたMCのロンドンブーツ1号2号・田村亮の“代役”として、宮下草薙の草薙航基を抜擢した「ロンドンハーツ」が象徴的だ。

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