「スイッチの切り替え」は私の場合、脳内に「電気のスイッチ」をイメージし、意識的に「オン」にするシーンを思い浮かべるようにしています。「眠れる獅子」を覚醒させ、奮い立たせるメンタルトリックのようなもの。
多くのスポーツ選手が、本番前の独自の「ルーティーン」を持っていますが、そうすることで、緊張を緩和し、「ゾーン」と呼ばれる究極の集中状態に入っていけるというわけです。
もうひとつ、緊張を解く「おまじない」を特別にお教えしましょう。
そもそも、人前でなぜ緊張するのでしょうか? それは「人として当たり前の本能」だからです。
知らない人、つまり敵に囲まれたとき、人は本能的に「生命の危機にさらされている」と感じ、緊張感・恐怖心にとらわれます。ですから、「いま目の前にいる人たちは『自分の敵』ではない」と脳に思い込ませればいいのです。
プレゼンを「対話、言葉のキャッチボール」にする
欧米で知らない人と会うとき、その役割を果たすのが「握手」です。「私は武器を持っていません」「あなたの敵ではありません」。そういうメッセージを握手によって瞬時に伝え、共感を作り上げることができるからです。
同じように、聴衆に手を差し伸べ、「バーチャルな握手」を交わし、目の前の相手が「敵」ではないという信号を脳に送る。そのためには、プレゼンは「モノローグ、ひとり語り」ではなく、「対話、言葉のキャッチボール」と心得るのです。
バージン・アトランティックなどの航空会社を立ち上げたイギリスの有名な起業家リチャード・ブランソンさんは「もともとプレゼンが、とても苦手だった」といいます。
そこで、「会場にいる友達と『おしゃべり』をしているだけ」と考えるようにしたそうです。「人前で話す」とき、たとえ眼前にいる相手が大勢でも、「1人ひとりとの対話の積み重ねである」と思うようにすることで、緊張することはぐんと減ります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら