「話し方の天才」に見える彼女も、実は20歳ぐらいまで発音で「ある苦労」があったそうです。それは、「R」の発音ができないといった言語障害があったこと。
いまでは見事に克服した努力の人なのですが、本番前には必ず「緊張を和らげるおまじない」を唱えるそうです。それは以下のような内容です。
(I am the daughter of Black writers. We are descended from freedom fighters who broke through chains and changed the world. They call me.)
まるで先祖の魂をよみがえらせ、その「言霊」や「託宣」を自身に憑依させる儀式のようですね。ここに「人前で話すときに緊張しない1つめの秘訣」があります。
私はニューヨークでコミュ力修業をしていたとき、アクティングスクールやブロードウェーのお芝居にひたすら通ったのですが、「何かが天から降りてくる」という表現を何人かの俳優の口から聞きました。
「まるで何かが乗り移り、鬼気迫る演技ができる」ということ。ある意味、自己暗示をかけて、「素の自分ではない、違うペルソナを引き出す」ことによって、恥ずかしさや緊張を超越できるというわけです。
恥ずかしがり屋だった私も、この「憑依芸」で緊張を乗り越える技を習得しました。ステージに上がる自分は「いつもの素の自分ではない」と思い込むようにしたのです。
「スイッチ」を押して、「別人格」になりきる。そうすることで、あまり人目が気にならなくなっていきました。
「人前で話す」のは、実はアメリカ人も苦手
「人前で話す」のは、実に緊張する作業です。得意そうなアメリカ人でさえ、「Public speaking(人前でのスピーチ・演説・プレゼン)は苦手」と考える人は少なくありません。
ある調査によると、アメリカ人が最も恐怖に思うものナンバー1が「パブリック・スピーキング」だそうです。その後に、「高度」「虫・蛇などの動物」「溺れること」「血・針」「閉所」「飛ぶこと」「見知らぬ人」「ゾンビ」「暗がり」「ピエロ」「幽霊」と続きます。それぐらいアメリカ人にとっても「人前で話す」のは恐ろしいものなのです。
では、その「世にも恐ろしい、人前で話す緊張」を、どうほぐしているのか。そのひとつ目が、いま挙げた「おまじない」や「ルーティーン」です。自分なりに「スイッチを切り替えるきっかけ」を作り、緊張を和らげているのです。
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