また、「過去に保育士として就業経験のある者」を対象に、保育士として再就業する場合の希望条件をたずねた設問では、「正社員採用」(37.5%)よりも「パート・非常勤採用」(56.0%)を選ぶ人の方が多いという結果になりました。ただし、配偶者無し・子ども無しの独身者にしぼった集計では、正社員採用希望が60.3%、パート・非常勤採用希望が30.3%でした。
また、現在就業中の保育士に、職場に改善してほしいことを聞いた結果では、トップが「給与・賞与の改善」(65.7%)、2位が「職員数の増員」(50.1%)でした。
*この調査は、調査時までの5年間に保育士として登録(氏名変更などの書き換えも含む)された保育士を対象に実施されたもの。
「全員パート化」容認で問題は解決するのか
このような調査結果からは、勤務時間が長く、責任が重い仕事をしている正規雇用の保育士ほど、現状に不満をかかえていることがわかります。その不満は、単に仕事の大変さに対してだけではなく、頑張っているのに待遇面で報われていないことにもあるようです。また、ローテーション勤務や残業が多い正規雇用では、子育てとの両立が難しいと感じていることは明らかです。
では、国の基準を「全員パート保育士でもよい」とすることで、問題を解決できるのでしょうか。
ここでその国の基準(配置基準)について正確に説明しておきたいと思います。
国の基準では、子ども対保育士の数を
1・2歳児:6対1
3歳児 :20対1
4・5歳児:30対1
としています。
1歳児と3・4・5歳児の配置は特に不十分であると言われており(他の先進国では、3歳以上児でも1人の保育者が受け持つ子どもの数は多くて十数人程度)、国でも改善を検討していた時期がありました。
かつては、この人数の全員が常勤でなければならないという配置基準でしたが、1998年の規制緩和で配置基準の人数の2割がパート保育士でもよいことになり、2002年には現行のようにクラスに1名の常勤保育士を配置すればよいことになりました。パート保育士が大幅に導入された職場では、正規雇用保育士に負担が集中してしまう現象も起こっています。
その正規雇用保育士がいなくなれば、パート保育士が正規保育士の代わりを務めなければならなくなりますが、そもそもパートタイマーは勤務量を調整したいためにパートタイムという働き方を選択している人が多いと思われるため、「話が違う」となるのではないでしょうか。
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