財政政策の「出口戦略」が世界の経済成長を抑制--大場智満・国際金融情報センター理事長(元財務官)

財政政策の「出口戦略」が世界の経済成長を抑制--大場智満・国際金融情報センター理事長(元財務官)

リーマンショックから1年半が経過し、国際金融、世界経済は回復色を強めつつある。半面、ギリシャ財政危機が象徴するソブリンリスクの台頭、中国など新興国のインフレ・バブル懸念など、金融危機後に発動した未曾有の財政出動・金融緩和の弊害・副作用が世界経済の新たなリスク要因となっている。

今後の国際金融情勢について、1985年プラザ合意時の元大蔵省財務官で、現在、国際金融情報センター理事長を務める大場智満氏に聞いた。

■通貨ユーロを防衛するための財政赤字削減は避けて通れない

--ユーロ相場を揺さぶってきたギリシャ財政危機の問題は、ユーロ圏の首脳会合において、いざというときの資金支援策が決まり、一応のところ前進を見ました。こうしたソブリンリスクという問題について、どのように見ていますか。

今回の世界経済の下降が過去と違っているのは、クレジットクランチ、金融危機が先に来たことだ。2007年8月初めにBNPパリバ傘下の3つのヘッジファンドが資産凍結したことに端を発する。

一番の問題は、クレジットクランチが収まらないと、経済が本来の勢いに戻らないことだ。IMFの経済予測を見ても、米国の今年の実質GDP成長率が2.7%で、来年2011年は2.4%と低下する。今年は中間選挙の年で、成長率が政治的に持ち上げられており、割り引いて考える必要もある。要するに、さほど高い成長は期待できない状況だ。

IMF(国際通貨基金)が昨秋集計した世界の銀行の不良債権推計を見ると、07~10年までの不良債権累計額で総額が2兆4000億ドル。大まかな内訳は、米国が1兆ドル、英国が6000億ドル、その他ユーロ圏が8000億ドルといった具合だ(日本やアジア諸国は無視できる範囲内の額)。この処理がまだ完全に終わったわけではない。

米国や英国はローンや証券の保有残高の約8%が不良化しており、ユーロ圏はそれが約3.5%と少ない。だからといって、ユーロ圏から先に経済が立ち直るかというと、そうではない。それは、財政赤字問題が浮上してきているためだ。

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