財政政策の「出口戦略」が世界の経済成長を抑制--大場智満・国際金融情報センター理事長(元財務官)

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 預金準備率を上げたといっても、この国では効果は疑問だ。やはり、個別の銀行に「これだけ貸し付けを減らせ。でないとクビだ」といった具合にしないと、政策は徹底しないだろう。

人民元の切り上げは別の思考方法が必要だ。中国の国家主席が近く米国を訪問するが、その前に米議会が中国を「為替操作国」に指定することを中国サイドは警戒している。

「為替操作国」に指定されれば、人民元は引き上げない。逆に指定されなければ、年間3~5%程度の人民元切り上げを実施するだろう。年央までにありうると見ている。

--日本の出口の時期、利上げのタイミングはまったく見えませんか。

議論もしていない状況だろう。今の政策のままでいくほかしようがない。そして、中央銀行の日銀の資産内容が悪くなっていく。それを受け入れていかざるをえないだろう。

日銀は精いっぱい努力しているとは思う。これ以上、打つ手はそう多くはない。

■ボルカー・ルールには経済への配慮が必要

--国際的な金融規制改革の論議について、どう見ていますか。

ボルカー氏(米ホワイトハウス経済再生諮問委員会議長)がブチ上げた規制改革案が上院で法案の形にされた。このボルカー・ルールに対して、ガイトナー財務長官は反対だろうと思う。規制が強すぎるからだ。

ところが、ボルカー・ルールはオバマ大統領がサポートしており、ガイトナー氏はG7でも口をつぐんでしまった。

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