財政政策の「出口戦略」が世界の経済成長を抑制--大場智満・国際金融情報センター理事長(元財務官)
--支援策発動の可能性は高いでしょうか。
今のところ、2割か3割くらい。そんなに高いとは思わない。ギリシャ政府が国民を説得して、何とか自力で財政再建をしていけるのではないか。ギリシャが原因となって、これ以上、世界の金融資本市場がガタガタするということにはならないだろう。
■米国の利上げは早くて今年末、ユーロ圏はさらに遅れる
--金融政策の出口戦略についてはどう見ていますか。
非伝統的な政策については、米国はこの3月で終わりにする。FRBは、債券の手持ちが増え、資産内容が悪くなっているのを放置しておくわけにはいくまい。国債だけならまだいいが、住宅関連の政府機関債などが急増している。
ただ、銀行の不良債権処理が残っている中で、財政の刺激策の余地がなくなってきている状況下では、高い成長はできない。財政赤字削減と景気刺激を一緒にやると言っているのは、英国のブラウン首相(労働党)ぐらいだ。
こうした中では、主要国の利上げのタイミングはかなり先送りになるだろう。米国が早くて今年年末ぐらいではないか。欧州は経済成長率が低いため、利上げは米国よりも遅れるだろう。インフレ期待が出てくれば、機動的な利上げもありうるが、今のところ、インフレ期待は起きそうにない。インフレ期待ということでは、BRICsのほうが先だ。
--中国の利上げ、人民元引き上げのタイミングは。
中国はすでに預金準備率を上げている。ただ、まだ緩和的な政策スタンスは変えていない。
中国当局は上海の株価の上昇や不動産の値上がりは気にしている。かつての日本と同じだ。そのため、利上げはいつあってもおかしくはない。