トヨタ流「セントレア」に見えた空港経営の本質 民営化の是非よりも先に「やる気」が問われる
沖縄県は現在、今後10年間の施策方針を定める新たな「沖縄振興計画」の策定にあたり、「世界水準の拠点空港化」を1つのテーマに掲げる。隣接する那覇軍港の跡地を含めて一体整備を進め、臨空・臨港都市として、商業施設や先端医療施設を集積させるなどの「将来像」が盛り込まれる見通しだ。
空港民営化に携わった専門家や行政関係者らは、アメリカ軍基地の存在や自衛隊との共同使用などの地域的な事情だけでなく、「放っておいてもお客さんが来る沖縄では、県や国にとって空港民営化の優先順位は必ずしも高くないのでは」との見方が大勢だ。
「経営感覚」から見える方向性
一方で、コロナ禍に喘ぐ地域経済の“エンジン”を自覚しながら、民営空港各社が前のめりで手を打つ「経営感覚」に照らし合わせれば、那覇空港を起点としたうえでの施策と求められるスピード感が、自ずと見えてくるはずだ。
沖縄県が「日本経済のフロントランナー」をアピールして国に提案する壮大な空港改革の実行を、だれが、どう機能させるのか。空港民営化の是非より大事な“一丁目一番”は、経営に携わる人の「やる気」。強烈な危機感に動機づけられたリーダーの存在と、時々刻々の変化をとらえた具体的な方策の有無が、これまで以上に地域経済の回復のスピードを左右する。コロナ禍はそんな空港の役割を、くっきりと浮き彫りにした。
外需を獲得できる唯一の公共インフラの担い手として、以前から続く天下りや縁故ではない、「やりたいことがある」という人材に変革のチャンスを託す気概と意欲があるか。空港経営において既存の運営・管理者側の「やる気」が、問われている。
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