トヨタ流「セントレア」に見えた空港経営の本質 民営化の是非よりも先に「やる気」が問われる

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中部国際空港に直結する施設「フライト・オブ・ドリームズ」。ボーイング787初号機の展示場をプロジェクションマッピングが彩る。ショップやレストランで買い物や食事が楽しめるが、取材した日は多くの店舗が臨時休業していた=2020年12月4日、中部国際空港
新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「緊急事態宣言」の再発令など、以前にも増して移動自粛が広がっている。今、切実な危機感の真っただ中にいるのが、民営化した空港各社の経営者たちだ。渡航回復後を見据え、打つ手はあるのか。
空港会社のトップへのインタビューから、期待される「経営感覚」をテーマにした全3回の連載。第1回「南紀白浜空港が見違えるほど変わった決定要因」(2021年1月15日配信)、第2回「北海道の民営7空港、大苦境下のかすかな希望」(同1月16日配信)に続いて、最終回は中部国際空港(セントレア)の現状と、アジアのゲートウェイとして、「世界水準の拠点空港化」を目指す沖縄・那覇空港の展望を交えてお届けする。

変わる潮流、「経営感覚」への期待

国は、所有権を国に残したまま、滑走路などの航空系事業とターミナルの非航空系事業を民間に委託して一体経営するコンセッション方式による空港改革を推し進めてきた。

その目的は決して、物販やレストランなど商業施設としての機能の立て直しでもなければ、単なるコスト削減の知恵比べでもないはずだ。経営的に不採算と言われる空港施設に対して、地域との経済的なつながりの中で、人の往来を活発にする施策をいかに打ち出せるか、その実現に耐えうる説得材料を持ってエアラインの就航をいかに勝ち取ってくるかという、企業としての経営手腕への期待がある。

これまでは、拡大するインバウンド需要やLCC路線の恩恵をより広く、地方に浸透させることが民営化の戦略として生かされた。だが、新型コロナは、その潮流を大きく変えた。環境条件はより厳しく、地域経済へのダメージの深刻さを考えれば時間的猶予もない。空港経営は、時代の変化を読み解く力量と、現状にとどまらない実践、行動力こそが試されている。

「僕らは経営感覚でしか議論していない。キャッシュフローをニュートラルにして、黒字に持っていくために何をするか。コロナ後にお客様や地域社会が求めるものが何か、ほかより先に行けるように、それを追求しながら黒字化と並行してやっていくだけ」

中部国際空港(愛称:セントレア)の犬塚力社長は、淡々とこう語る。セントレアは、犬塚社長の就任から7カ月経った昨年1月と4月のわずか3カ月の間に、国際線の運航便数が「過去最高」と「過去最低」の両方を記録更新するという厳しい状況に直面した。

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