北海道の民営7空港、大苦境下のかすかな希望 民営化直後の失速、道産土産担ぎ出口を探る
設備投資額を半減
全国で先行して新型コロナウイルスの感染が猛威を振るった北海道。2020年1月、その世界的な脅威の始まりと同時に、新千歳空港を含む道内7空港の一括民営化がスタートした。運営を担う北海道エアポートの蒲生猛社長のもとに取材に訪れたのは、2020年11月中旬だった。
「こんな状況で取材に答えるのは正直、微妙なんです。国の空港なら倒れないのに、民間になったら倒れそうになるってなんだろうなって。本当にしんどい」
悔しさをにじませながら、蒲生社長は肩を落とした。
成長戦略の柱だった国際線の運航はゼロの状態が続き、同社は2025年度までに計画していた約1000億円の設備投資を半減させる方針を決め、経営計画の大幅な見直しに入った。
着実な成長が見込めた新千歳空港の収益をテコに、函館、旭川、釧路、帯広、女満別、稚内の6つの空港の改革につなげる計画を描いていた。主に生活路線として維持されてきた典型的な不採算の地方空港を含むからこそ、北海道を舞台にした民営化による活性化の具体策が期待された。それだけに、出ばなを挫かれた蒲生社長の落胆は大きい。
「空港ってね、入ってくるお金の3分の2はお客様の数に連動していて、動きが止まるとドンと減る。だけど、出ていくお金は固定費が95%以上。1日1便しか飛ばなくても変わらない。はっきり言って、経営は簡単じゃない。関係する13自治体の首長さんの顔がつねに思い浮かぶ。いまは、期待が後ろ倒しになることを丁寧に説明していくしかない」とこぼした。
頼みの綱は、民営化事業に参画する北海道空港や三菱地所、東京急行電鉄、北海道銀行など道内外の17社のネットワークだ。「こうしんどくなると、17社がいてくれてよかったと思う。資金面も人材の面も、情報の下支えだって、地元だけでは乗り切れない」。
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