北海道の民営7空港、大苦境下のかすかな希望 民営化直後の失速、道産土産担ぎ出口を探る

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インタビューに応える北海道エアポートの蒲生猛社長。国土交通省の出身で、新関西国際空港常務取締役、国交省大阪航空局長などを務めた=2020年11月11日、新千歳空港(筆者撮影)

苦しい経営状況に感染拡大の「第3波」がさらに追い討ちをかける一方で、新千歳空港には、民営化が始まるより前に実施した空港改革で商業施設の機能を強化し、収益を生む基盤づくりを進めてきた利がある。その先導的役割を担ったのが、北海道エアポート社の筆頭株主でもある、前身の運営会社「北海道空港」だった。

「(当時の)北海道空港の住吉哲治会長の才覚が素晴らしかった。温泉や映画館を入れ、飛行機の利用客だけでなく、地元の住民にも来てもらう。ほかにも、空港が地域の物産を担いで外に出ていく、北海道のショーケースとして、東京に販路を広げる橋渡し役になってきた」。蒲生社長は、前社から受け継いだ現エアポート社の位置付けをこう説明した。

新鮮な生鮮食品がそろうスーパーマーケットのような売り場=2020年9月28日、新千歳空港(筆者撮影)

その北海道空港社も、コロナ禍が直撃する非常事態を受け、免税店や物販店事業の担い手として対策に乗り出した。

LCCの貨物スペースを生かせ

同社が新千歳空港ターミナルビル2階で運営する「北海道本舗 総合土産店 」は、道産の豊富な海産物や人気の土産菓子を一手に扱う。コロナ前までは毎日が「北海道物産展」の賑わいだったが、旅客便の減便や停止で商品は出口を失った。

「ピーチのお腹はあいているぞ」

空港社開発部のメンバーは昨年春、住吉会長にこう檄を飛ばされた。

「人が来ないなら、旅客便の貨物スペースを生かして物を動かせないか、考えたらどうだ」との投げかけだった。取引企業の中には、インバウンド需要に支えられていた観光土産菓子メーカーがいくつもあった。国際線の停止で売り上げの柱を一気に失った。役職に関係なく、総出でショッピングセンターの駐車場や催事に出かけ、手売りで商品を販売する社員たちの姿を目の当たりにしていた。「地場企業の惨状に寄り添えないか」との会長の意図を汲み取ったスタッフは、すぐに“出稼ぎ”に向かった。

ターゲットにしたのは、首都圏や東北、九州などの百貨店や空港の売り場。路線網のある全国各地が営業のスコープに入った。

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