北海道の民営7空港、大苦境下のかすかな希望 民営化直後の失速、道産土産担ぎ出口を探る
昨年10月からピーチ・アビエーションが札幌と直行便で結んだ沖縄も、その「商圏」に浮上した。3~4時間の輸送時間で商品がデイリーで届くようになれば、沖縄県内の百貨店だけでなく、スーパーやコンビニエンスストアも、北海道産品の安定的な“出口”になりうる。
狙いはそこだけにとどまらない。コロナ収束後、台湾や中国、韓国などアジアにもっとも近い沖縄からインバウンドがいち早く復活する可能性に想像力を働かせれば、沖縄のマーケットまでもが、北海道産品の常設ショーケースと化す。
昨年10月中旬には空港社のスタッフが沖縄を訪れ、地元の小売り、食品製造大手の経営トップや担当者と商談。北海道と沖縄の特産品を使ったコラボ商品の開発の可能性を探り、材料の調達や物流面の課題などについて意見を交わした。
越境ECで地元の「本物」を提供
ネット販売のチャネル開拓にも挑んだ。北海道空港社は昨年11月、初めて中国のネット通販大手アリババが運営する通販サイト「天猫国際(Tモールグローバル)」と提携。現地の“独身の日”に合わせて北海道本舗の期間限定店舗を開設した。11月3日にあったプレイベントで販売した「白い恋人」(石屋製菓)は、わずか1分間で4万5000個を完売し、7000万円を売り上げたという。
これまで旅行者として土産品を買い求めた人たちが現地にとどまり、ネット通販で“本物”を手にする。同社は、個人バイヤーからの転売によらず、適正価格で商品を提供することが、地元菓子メーカーのブランドの再構築に貢献することになると見ている。渡航制限中の潜在的な顧客の需要に応える、越境ECの活用に手応えをつかんだ。
とはいえ、空港経営は当面、視界不良が続くことは確実だ。北海道エアポート社は現在、旅先からリモートで仕事をこなす「ワーケーション」の需要を引き込もうと、自治体との連携を模索し始めた。
コロナ前に開業した国際線ターミナル直結の高級ホテルにある1泊100万円のスイートルーム。現在は30〜50%程度のディスカウント価格ではあるが、月数件ずつの予約が入り稼働率が最も高いという。これまでの方向性に間違いはないはずだ。
蒲生社長は自身に言い聞かせるようにこう言葉をつないだ。
「いつ倒れるかわからないから、こっちは必死。悲壮感とでもいうか。でも寒いときに体を動かさないと生きていけないのと同じ。リスクをとってやっていかないと、じっとしていたら会社も地域も沈んでしまう。前に出ていかないと」
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