世界のプロが大絶賛した「日本の酒」56の顔ぶれ 女性審査員だけのコンクールでの評価は?

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そして日本酒。コロナ禍で、日本から日本酒専門審査員の渡仏がかなわず、日本酒評価の基準は資料の配布によってのみ行われた(本来は、日本酒セミナーを開催し、評価ポイントの説明会を予定していた)。

結果としては、華やかなタイプ、フルーティーなタイプ、すっきり癖のないタイプが高評価となった。米という穀物からできるお酒にもかかわらず、果物の香りがする日本酒の不思議な味わいに、ワイン専門家の興味は尽きないようだ。

一方、スパークリング部門のハードルは高かった。ワイン部門は、シャンパーニュという極めつきの強豪をはじめ、世界のスパークリングと戦っていくには(コンクールは戦いではないが)、きめ細かで持続性のある泡、フレッシュさ、エレガントな酸味が必須だ。今年初となった日本酒部門のスパークリング酒はその点、思いのほか苦戦した。今後、いくつかのハードルがありそうだ。

「TOP OF THE BEST」は?

審査は、39のチェック項目があるテイスティング審査評価表を使用し、視覚(2点満点)、嗅覚(6点満点)、味覚(12点満点)、合計20点満点で点がつけられる。点数に従い金賞と銀賞が選出される。

2020年第14回大会からは、最も高得点だった日本ワイン、日本リキュール、日本酒を「TOP OF THE BEST」として、表彰されている。

その3銘柄は以下だ。

<日本ワイン部門>
カタシモワインフード株式会社/柏原醸造ワイン 赤辛口(大阪) 

(出所:筆者提供)

大阪、河内産の赤ワイン。意外にもこの地はワインの歴史の長い地区。カベルネとメルローとマスカットベーリーAのブレンドだが、滑らかさと柔らかさを兼ね備え、穏やかながら深い味わいの逸品。魚料理やだしのきいた料理にもすこぶる合う。現在は女性がワイナリーの代表を務める。

<日本リキュール部門>
老松酒造株式会社/梨園スパークリング(大分)

(出所:筆者提供)

大分の焼酎・日本酒メーカー。文字どおり梨のスパークリングリキュール。洋ナシ人気のフランスにおけるコンクールで日本産梨のリキュールが最高得点とはなんとも痛快。フレッシュで甘酸っぱい味わいが特徴。

<日本酒部門>
菊池酒造株式会社/木村式奇跡のお酒 純米吟醸 雄町(岡山)

(出所:筆者提供)

「奇跡のリンゴ」で有名になった木村式有機栽培の酒米「雄町」で造られた純米吟醸。華やかすぎない香り、雑味のないピュアな味わいながら、米由来のふくよかな甘味と優しい旨味を感じる秀逸な酒。大吟醸でも純米酒でも熟成酒でもなく、純米吟醸が最高得点というとことも興味深い。

いかがだろうか。それぞれ魅力的な日本産のお酒ばかりだ。

コロナ自粛が再び強まり、外食が自由にできにくくなっているが、自宅に取り寄せてみて、世界の女性ワイン専門家500名に選ばれたこれらの酒で乾杯してみてはいかがだろう。味わいはもとより話題性もばっちりだ。

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