トヨタ「C+pod 」発表で超小型EVは普及するか 2020年の法改正で国内事情は一歩進んだが…
このときの超小型モビリティは、軽自動車をベースにした認定制度で、走行には運行区域の地方公共団体または同団体が組織する協議会、あるいはこれら団体から了承を得た者の申請が必要であり、走行区域も決められるなど厳しい条件が存在していた。そのため、普及はいまひとつだった。
状況が動いたのは2020年。前年から新しいルールの検討を進めてきた国交省が概要を2月に公表すると、パブリックコメントを受け付けたうえで、9月に道路運送車両の保安基準と道路運送車両法施行規則を一部改正し施行した。
車両面では、ボディサイズと最高速度がミニカーと共通になり、出力と乗車定員(ミニカーは1人、超小型モビリティは2人)で差別化されたことが、大きなポイントだ。
さらに超小型モビリティの形式指定車には、走行実態や事故実態を踏まえ、前面衝突はフルラップ/オフセットともに衝突速度を40km/hとすることが定められた。これまでの認定制度では、衝突時の乗員保護や歩行者保護などについて、構造要件を満たしていれば衝突試験が免除されていたので、規制強化になる。
C+podの価格は165万円~
今回、発売されたC+podの外寸や性能は、この新しいルールに準じており、ニュースリリースにも「新たに設定された超小型モビリティ用の安全基準に対応」とあることから、超小型モビリティの形式指定第1号車となるだろう。
認定制度のもとで生まれた従来の超小型モビリティやヨーロッパのクワドリシクルでは、形式指定を受けることは難しそうだが、出自が明らかでない粗悪な超小型EVなどの上陸を防ぐという点では、衝突試験は有効に働いてくれそうだ。
ベースグレードで165万円というC+podの価格は、三菱「i-MiEV」の約半分、「ミニキャブ・ミーブ」の2/3で、EVとしては安いが、2人乗りの軽自動車としては高いと見る人もいそうだ。
ちなみに、フランスでのシトロエン・アミの価格は6000ユーロから。既存の自動車に近い性能を与えようとする日本と、多くの人に移動の自由を提供しようとするフランスの思想の違いを感じる。
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