サイボウズ青野社長が説く「がんばるな」の意味 昔ながらのオジサンたちは何も変わっていない

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「がんばりを美徳とすることに意味はない」とサイボウズの青野社長は言い切る(写真:サイボウズ)
新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの人にとって、仕事のあり方は大きく変わった。先が見えない不透明な今、個人にとって仕事とは何か? 
1月25日(月)発売の週刊東洋経済1月30日号「1億人の職業地図」特集では、現在から2030年に向けて、将来の職場や働き方の変化を大予測。特集の中で、社長自身が3度の育児休暇を取得するなど先進的な働き方の取り組みで知られるソフトウェア会社、サイボウズの青野慶久社長(49)に話を聞いた。

1本足打法でなく、複数の得意を持つこと

━━コロナ禍を経て仕事に対する価値観が変わった人も多いです。これから私たちはどのような仕事を選べばいいと考えますか。

自分がどのように働きたいか、何に喜びを感じるかは、人それぞれだと思う。そんな多様性のある時代に自らが責任をもって選択できる軸というものを持たなければならない。私が1994年に新卒で入社したのは松下電工(現・パナソニック)。1971年生まれで、できるだけ偏差値の高い大学に入学して大企業を目指すというのが、多くの学生が目指す流れだった。それから20年以上を経て、価値観は大きく変化した。

そもそも、正社員として働くのではなく週3日働き、副業にいそしむ人も増えている。それぞれの人の価値観で組み合わせがより一層多様化していく。そんな時代に自分がどうしたいかは、若いうちから考える必要があり、教育段階のところから意識していかないとダメだと思っている。

『週刊東洋経済』1月30日号(1月25日月曜発売)の特集は「1億人の職業地図」です。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします。

━━青野社長は苦手を克服するのではなく、得意を伸ばす教育が重要だと以前から話しています。

2030年という10年後の変化は読みにくいが、AI(人工知能)やロボットの発達は間違いない。将棋のAIがプロ棋士を倒しているように、人間がコンピューターに勝つことは難しくなる。人間が人間に指示してやっていた定型業務はこの10年で多くが置き換わっていくだろう。そうなったとき、人間として何をやりたいのか、何が得意なのかを究められるようにしないといけない。いくら将棋AIが発達しても、藤井聡太氏のようなポジションは必要とされるように、その道のプロは生き残る。

もちろん、多くの人がその道を究め、実現できるわけではない。そういう人たちへの示唆としては、1本足打法ではなく、複数の得意を持つということだ。たとえば、マネジメントスキルもあり、プログラミングもできる。司会業が得意で手品もできますといったように、凡人でも身につけられるスキルを磨くことが重要となる。複数の得意を持っていると、活躍の機会がいくつもあるので、食えなくなるようなことはないだろう。

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