サイボウズ青野社長が説く「がんばるな」の意味 昔ながらのオジサンたちは何も変わっていない

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今の時代でもネットを通じて、ちょっとした仕事や副業のマッチングができる時代になっている。その道のカリスマと呼ばれる人たちに依頼するには仕事の単価も高いが、それなりのスキルがあればそれなりの値段で仕事を請け負うことができる。スーパーエリートでなくても稼ぐ手段は増やすことができる。

━━コロナ禍以前の社会では、東京に一極集中し、多くのお金を稼ぐという価値観がもてはやされていました。

私たちは単に“お金獲得競争”をしていただけだったのかもしれない。コロナ禍以前であっても、お金がなくても楽しく生活している人がいたものの、注目されていなかった。今回のコロナ禍をきっかけに東京で働かなくてもいいとなったことで、地方に目を向けることや自分の家庭に目を向けることで、幸せを見つけた人も多いはずだ。東京でみんなが一斉に集まってお金獲得競争をしていることは、果たして本当に幸せなのかということを考えるきっかけになったと思う。

あおの・よしひさ/サイボウズ代表取締役社長。1971年愛媛県生まれ。松下電工(現・パナソニック)を経て、1997年にサイボウズを設立。政府の「働き方変革プロジェクト」の外部アドバイザーも務める。2男1女の父(写真:サイボウズ)

━━サイボウズでは募集要項に「日本全国どこでも仕事ができる」と書いていますね。

(人々が生活するうえで欠かせないエッシェンシャルワーカーの職種を除いて)わが社はテレワーク(在宅勤務)禁止ですと言ったら、今の若い人たちは応募してこない。好きなところで好きなように働いてくださいと募集をしている。もちろん裏側にはITの仕組みがある。新型コロナが教えてくれたのは、自分たちはまだまだITを十分に活用していなかった、ということだ。サイボウズのようなIT企業は本来ならテレワークし放題だったはずなのに、社長が毎日出勤して毎日対面での会議を開催していた(笑)。

全社一斉テレワークに切り替えてウェブ会議を導入してから、いかに今の働き方がいいかがわかった。ITをちゃんと活用すれば、東京でなくても働くことができるし、ネットを通じて副業も自由にできる。

ヒエラルキーの強い会社は生き残れない

もちろんテレワークが浸透する中でのデメリットもある。仕事の質を高めるためには、リアルな場で会ったほうがいいこともある。また、社員同士のコミュニケーションが希薄になるので、リモート環境でも自由に雑談できるように工夫するなど必要になる。ただ、世界中どこでも移動時間ゼロでウェブ会議をできることは、肉体的な負担も減って生産性向上にもつながっている。

━━私たちがこれから仕事をする会社を選ぶうえで、どのような会社が伸びると考えていますか。

年功序列でヒエラルキーが強く、上司からの指示によって動く管理型の組織では、いまのビジネスモデルが強くても、これからの時代には淘汰されていく。変化へのスピードに対応できないからだ。これからの強い企業の考え方は、新しい組織形態である自律型の組織が必要となる。自律型の組織は1人ひとりが自ら考え行動できる組織だ。組織として自律的な行動ができる環境が整っているかという基準で見ていくのがいいだろう。

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