「ラブコメ」ドラマで圧勝するTBSの大胆な妙手 「恋つづ」「わたナギ」といったヒットを連発

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ここまでに2作をフィーチャーしたように、現在のラブコメを語るうえでTBSの22時台「火曜ドラマ」が果たす役割は大きい。ただ、2014年春に新設された同枠の歴史は、まだ6年あまりに過ぎず、しかも2015年までの7作はすべてラブコメではなく、全ドラマのなかで最下位争いに甘んじる苦しい船出だった。

浮上のきっかけをつかんだのは、今から5年前の2016年に放送された8作目にして初のラブコメ「ダメな私に恋してください」。さらに他ジャンルの2作をはさんで「逃げるは恥だが役に立つ」が大ヒット。

その後も、ド真ん中のラブコメである「花のち晴れ~花男NextSeason~」「初めて恋をした日に読む話」に加えて、「中学聖日記」「わたし、定時で帰ります。」などクールな世界観の作品にもコメディリリーフを入れて視聴者を笑顔にさせてきた。

勝因は「ラブコメ路線を徹底できた」から

もともと火曜22時台は、関西テレビ(フジテレビ系)が20年超にわたってドラマを手がけたほか、NHKも10年から「ドラマ10」を放送する超激戦区。結果的に、最後発のTBS「火曜ドラマ」が関西テレビとNHKを枠移動に追いやり、現在の成功を収めたのだが、その勝因は「ラブコメ路線を徹底できたから」としか思えない。

では、「火曜ドラマ」以外のラブコメはどうなのか。歴史をさかのぼると、古くはアイドルの主演作を中心に、各局で制作されてきた。しかし、実のところラブコメは他ジャンルと比べると爆発的なヒット作は少ない。

歴代の視聴率ランキングに入ってくるのはフジテレビの月9ドラマばかりで、それ以外ではTBS「男女7人秋物語」くらいしか見当たらない。その月9ドラマは、「君の瞳をタイホする!」「101回目のプロポーズ」「やまとなでしこ」などのヒット作が目白押しで、その後も「プロポーズ大作戦」「デート~恋とはどんなものかしら~」「5→9~私に恋したお坊さん~」などが放送されてきた。

ただ、ここ約3年間は刑事・医師・弁護士の物語のみでラブコメから離れているだけに、TBS「火曜ドラマ」が作った盛り上がりを利用するのも一考かもしれない。

話を現在のラブコメに戻すと、高視聴率だけでなく、SNSへの書き込みやネット記事の多さを見れば、もはやラブコメは「手堅い」ではなく、「ヒットの有力ジャンル」となっていることは間違いないだろう。では、なぜここにきてラブコメのニーズは増しているのか。

ラブコメの魅力といえば、「気軽に見られる」「笑って楽しめる」ことだけではなく、「ハッピーエンドがほぼ約束されている」ことも視聴者を引きつける要素の一つだ。

現在の視聴者は「プライベートの時間をどう使うか」にシビアであり、「3カ月間見続けたドラマの後味が悪かった、見て損した、ということは絶対に避けたい」という思いが強い。

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