角川が仕掛けるラーメン店に行列ができるワケ 月替わりで有名店が本気でラーメン試作に挑む

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「それから、地元の方が気に掛けて来てくれるんです。今はリモートワークになっているからか、毎日のように来てくれる方もいてね。開店時にはちょっとした列ができるぐらいです。ラーメンファンの方も少しずつ増えて、休日はやはり賑わいます。日に250〜300食、1日で60万円超の売り上げがあった日もありますよ」(福田氏)

ラーメン文化の発達、地域貢献を視野に

商品の価格付けは、その期間に開店する店に任されている。本店より高い価格で出しているところもあるが、同店で提供されるラーメンはいつもより高い食材を使っていたり、店主による工夫が凝らされている分、本店と同じようでいて、中身が違うのだそうだ。

例えば2020年12月に出店していた「七彩」は注文後に打つ麵と4種類のしょうゆをブレンドした旨味のあるスープが特徴。店主による特製ラーメンとして、出汁に鹿肉を加えたラーメンが提供された。また1月に出店する「真鯛ラーメン」はスペシャルラーメンとして真鯛白子を使用したものなどを提供する予定だ。

2020年12月に出店していた「麵や 七彩」の定番、醤油ラーメン(1200円)。4種類をブレンドしたしょうゆによるあっさりしていながらも深い味わいが、太めのちぢれ麵によくからむ。麵は本店と異なり注文後の手打ちではないが、当日朝に打ったものなので生麺のフレッシュさは十分感じられる(撮影:梅谷秀司)

とはいえ同店の目標は売り上げではなく、あくまでラーメン文化の発達。そのため、売り上げの多くは出店した店舗に提供する。また、チャレンジ店主を招くのも、競争の激しいラーメン業界でオーナーを支援したいという思いがある。

「ラーメン屋は3年で7割が入れ替わると言われています。メディアと連動した発信など、個店のオーナー個人ではできないことを支援するのが目的。ラーメンの味の進化にもつながります。チャレンジ店主の中には、素晴らしい味を持ちながら、コロナの影響で日に3万円程度の売り上げの店もある。それが半日、スーパーバイザーの元でアドバイスを受けながら商品を提供すると、100杯を売り上げるようになりました」(福田氏)

アフターコロナの社会に向け、地域再生に貢献するという目的もある。先述の鹿肉を使ったラーメンもそうだが、店主には地域地域の産品を使ったラーメンをつくってもらい、その地域のご当地ラーメンとしてレシピを提供する。地元食材が使われるので地域も潤い、ラーメン屋も活性化するという構想だ。

福田氏にはさらに「アニメツーリズム」ならぬ「ラーメンツーリズム」の夢も抱く。現在、大ヒットの「鬼滅の刃」では、アニメ中の作画ヒントとなった場所を訪れる人が増え、大きな経済効果を生んだ。ラーメンも、コロナ後の世界の起爆剤となるのではと考えているのだ。

実はグループでは、その1つのバージョンとして、成田空港内に全国のお土産ラーメンが味わえる「全国厳選!味の旅ラーメンWalker」も運営している。

身近なグルメ、ラーメン。その無限の可能性で、日本を明るくしてくれそうだ。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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