イオンシネマが子ども映画を重視するワケ

『劇場版 ゆうとくんがいく』に込められた戦略とは

デビューの早期化で映画離れを防ぐ

――頑張って夢をかなえるという話は、子どもたちにも共感してもらえそうですね。

小金沢 剛康 こがねざわ たけやす 1977年群馬県生まれ。2000年にワーナー・マイカル(現イオンエンターテイメント)に入社。映画館の支配人やマーケティング部などを経て、2014年からイオンエンターテイメント プロモーション部本部長に。プロモーション部で「れっしゃだいこうしん」シリーズや、「こどもの映画館シリーズ」などを企画、上映に携わる。

やはり子ども向けの作品なので、わかりやすいほうがいいんですよ。特に小さい男の子なんかは、たとえ作品の冒頭で主人公が負けたとしても、それから努力を重ねて、最後に勝ったとなれば、まるで自分のことのように喜んでくれますからね。だからこそ、ぜひともファミリーで見てもらいたいと思っています。

――イオンシネマが子ども向け作品に力を入れる理由について教えてください。

理由は2つあります。ひとつは、立地的な条件や、車を中心としたアクセスの面などから、ファミリー層が非常に多いということ。

それからもうひとつは、映画業界そのものの観客動員数がずっと横ばいになっているという状況の中で、映画人口は増やしたい、と考えたことです。もちろんリピート率を増やしましょうとか、シニアの映画館離れを防ぐために、きちんとわかりやすいサービスを導入しましょうとか。いろいろと考えてはいるのですが、それよりも映画館デビューそのものの早期化を図ったほうが早いのではないかと思ったのです。

たとえば「初めて見た映画は?」と聞いたときに、「ドラえもん」や「ポケモン」と答えるお子さんは多いのですが、それも「5歳か6歳のとき」と答えるケースが多い。だったら、それを3歳から普通に映画館に来られるようにしたらどうだろうかと考えました。やはり映画館に慣れてもらうことが必要になるわけです。極端に言えば、1歳くらいから日常的に映画館に行っていれば、映画館そのものが身近なところになる。そういった空気を作っていくことが、大事なミッションなのです。

――お子さんに映画館に来てもらうための試みのひとつとして、作品によっては、場内を明るくして上映していると伺っています。

『ゆうとくん』ではそれはやりませんが、1~2歳の子どもたちに楽しめるようなコンテンツを上映するときには、3つの試みを行う場合があります。まずは場内を明るめにすること。音を小さめにすること。そして温度設定をよりこまめにやるということ。お客さまにはあらかじめ、そういう映画ですよ、ということを告知しておきます。

この3点に気をつけることになったのも、グループインタビューやネットでの調査なども含めた、ママたちの生の声をいろいろと聞いてみた結果なのです。お子さんが『アンパンマン』を見たいと言うので、映画館に来たのですが、いざ映画館に入ったら暗いし、音が大きくて、やっぱりだめだったと。映画館っていい意味でも悪い意味でも非日常的空間ですからね。ロビーに来た瞬間からもう緊張しちゃうという。

(C)チームゆうとくん
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