イオン、「スーパーマーケット連合」創設の狙い まずはマルエツ、カスミ、マックスバリュ関東が集結

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19日に会見を行った首脳ら。左からイオンの岡田社長、カスミの小濱会長、マルエツの上田社長、丸紅の秋吉副社長

イオンの岡田元也社長が昨年3月に「首都圏食品スーパー(SM)連合」構想をブチ上げてから約1年。ようやく、これが形になる。

マルエツ、カスミ、マックスバリュ関東(非上場)の3社は2015年3月に共同持株会社を設立し、経営統合する。共同持株会社は東京証券取引所に上場し、その過半の株を、イオンと丸紅が出資する特定目的会社が保有する。共同持株会社はイオンの子会社、丸紅の持分法適用会社になる。

共同持株会社という形になったのは、「それぞれの経営戦略は独自のものがあり、これを大事にするため」(カスミ・小濱裕正会長)。また、「エリアが異なり商売の中身も異なる。その中で、自主自立(経営)を維持できる」(マルエツ・上田真社長)としており、各社の店舗の屋号は維持されるという。

連合形成は道半ば

イオンがカスミに出資したのが03年、マルエツに対しては07年だ。出資当時から子会社化や再編が推測されてきただけに、今回の経営統合に特段のサプライズはない。SM連合の首脳は「イオンによるダイエーの子会社化が決まった後、今回の統合は既定路線だった」と話す。

一方、イオンや丸紅と資本関係のない企業はもとより、イオンが15%出資するいなげややベルク、また丸紅が31%出資する東武ストア、20%出資する相鉄ローゼンなども連合には入らなかった。「首都圏スーパー連合」と銘打ったものの、同じ傘の下に入るのは3社に止まることから、「少し中途半端」(業界関係者)との声も聞かれる。

首都圏SM各社は独自性のある経営者や企業が多く、簡単に一枚岩になりきれないという事情もある。昨年夏の段階で、岡田社長は「SM連合構想の実現は、消費増税対策よりも難しい」と苦笑していたほどだ。

今回、いなげやの不参加について、岡田社長は「イオンと各社の資本関係で(連合が)スタートしたわけではない。重要なのは時代認識。連合についての機会を持ったことはない」と述べた。また、鉄道系2社が参加しないことについて、丸紅・秋吉満副社長は「親会社が鉄道会社で独自の経営をしている。電鉄系スーパーの八社会に属していることもあり、両社に声がけしたことはない」と説明した。

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