イオンシネマが子ども映画を重視するワケ

『劇場版 ゆうとくんがいく』に込められた戦略とは

家族全員で見る前提で料金を考える

――子どもは興奮しますからね。

ママからはいろんな意見をいただきましたが、中でも「場内が暗い」「音が大きい」という2つが群を抜いてトップでしたね。それならば場内をやや明るくして、音を少し小さくしましょう、といったことなのです。

そのほか、ベビーカーに座っていれば、それなりに落ち着いているから、できればベビーカーのまま入って、そのまま座らせたい、とか。あるいは、上の子が3歳で、その子はなんとか我慢できるのですが、下の子は1歳で預けられないから、抱っこしようとするのだけど、泣いてしまう。だからベビーカーでそのまま入って、その子だけ寝かしておきたいとか。いろいろなお声をいただきましたが、それらを全部かなえたらどうなるだろう、というところからスタートしたのがこの試みですね。「多少泣いても騒いでもお互いさまですよ」といった空気の中で上映してみるのが、いいんじゃないか、ということになりました。

――それから温度を調節をこまめにやるとおっしゃっていましたが。

もちろんひとつの映画館に9~10のスクリーンがあるため、常時、人間が張り付いているわけではないのですが、それでもチェックは細かくやっています。しかし、子ども向けのプログラムのときとなると、さらにチェックの頻度を高めています。かなり細かく温度と湿度を見て、あとは体感で判断して、こまめに温度調整を行います。

――最適な温度というのはあるのですか?

こればかりはスクリーンの大きさやお客さまの数、季節によっても変わるので一概には言えませんが、26度がベストのときもあれば、25度がベストのときもあります。それから劇場の構造によっても、風の回り方がかなり変わってきます。これは温度だけでは計り知れないものがあるため、そこはスタッフが実際に体感した温度を基に判断しています。

――料金的な部分ではどうですか? たとえば『れっしゃだいこうしん』は子どもの入場料が500円だったと思うのですが。

そこは本当に悩みどころです。『れっしゃだいこうしん』は1歳児や2歳児が多く、映画館デビュー的な意味合いが強い作品なので、トライアルという意味合いを込めて500円にしています。どうしても家族全員で見ていただきたい作品ではありますから、どこまでなら値段が下げられるのか、という収支計算は、けっこう緻密にやります。やはりお母さんは家族単位で入場料を計算するので、親の金額を下げるのはひとつの方法かなと思いました。それとわかりやすいということから、オール1000円という値段設定になりました。

やはり制作のコストとかそういったものも含めての計算になりますから、入場料の価格帯は本当にバラバラですね。このコンテンツはこんな作りだから500円ですとか、はっきり言えない部分もあります。ただ、500円なら見るけど、1000円なら見ない、というふうになっても意味がない。その辺は過去の作品を振り返りながら価格設定をしています。

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