2020年、首都圏を中心に鉄道ファンの間で205系電車が話題となった。というのも、大所帯だった武蔵野線の“一族”が、209系やE231系の進出によって引退。その最後の姿を、多くのファンが見送ったのだ。
205系は、国鉄末期の1985年に登場した車両である。この頃、国鉄では首都圏を走る各路線の輸送力増強を計画しており、そのために必要な車両は山手線に新型車両を投入して捻出することになった。だが、最有力候補である201系は省エネ効果が高い一方で製造コストも高かったことから、これに代わる通勤型車両として205系が開発された。
ステンレスの洗練された外観
その最大の特徴は、ステンレス製の車体だ。すでに、首都圏の大手私鉄ではステンレス車両が次々に導入されていたものの、国鉄で本格的に導入されたのはこの205系が初めてである。ステンレスはさびにくいため、鋼鉄製車体のようにさびる分を見越して部材を厚くする必要がなく、大幅な軽量化が可能となる。
また、さびないということは塗装によって表面を保護する必要もなくなり、塗料分の重さに加えて塗装作業の手間もカットできる。銀色に輝く側面は戸袋窓がなくなり、量産車では客窓を2段式から横部材がない1段式としたことも相まって、かなり洗練された外観となった。
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