JR東と「205系」が支えたジャカルタ鉄道の発展 最後の車両譲渡、強い協力関係は今後も続く
その数、812両。2013年から2020年にかけて、JR東日本からインドネシア通勤鉄道(KCI)に譲渡された205系電車の数である。
去る10月21日、「ジャカルタ行き」最後の1本となる805~812両目の205系が京葉車両センター(千葉市)を旅立った。早ければ年内にもジャカルタの地で再び走り出すことになるだろう。
ジャカルタには2000年以降、多数の中古車両が日本から輸出されている。100%が中古車両でまかなわれるようになって久しいが、現在KCIに在籍する約1100両のうち7割ほどを205系が占めている。もはや「中古車の天下」というよりも、「205系の天下」と呼ぶほうがふさわしい。日中でもおよそ10~20分ごとに運行されるようになって利便性が向上しているのはもちろん、突発的な車両故障による運休やダイヤ乱れが格段に減少している。
通勤鉄道の安定運行を確立し、誰もが気兼ねなく、そして安心して利用できる環境を生み出したこの背景には、単に大量の車両を譲渡したというだけでないJR東日本とKCIの強い協力関係がある。
「ジャカルタ輸出」を大々的にPR
最後に旅立った205系は、武蔵野線で活躍していた車両だ。同線の車両は2018年から譲渡が始まり、計336両、丸3年の長丁場だった。
武蔵野線車両の譲渡において特徴的だったのは、送り出すJR側でインドネシア・ジャカルタというキーワードが身近なものになっていることだ。新習志野駅からの車両配給時、編成最後部の行き先表示や駅の発車標に「ジャカルタ」と毎回表示し利用者や鉄道ファンを楽しませたほか、同時に開催された駅でのミニイベントやグッズ販売会でも「ジャカルタ」と言うワードを大々的に打ち出した。
これまでに埼京線、横浜線、南武線の205系がジャカルタに旅立ったが、実にひっそりとしたもので、海外に渡る、ましてジャカルタに行くということが一般利用者の目に触れることはほぼなかった(最終列車のアナウンスで放送されたくらいである)。つまり、現場レベルでの意識が変わりつつあるのである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら