JR東と「205系」が支えたジャカルタ鉄道の発展 最後の車両譲渡、強い協力関係は今後も続く
これらのイベントは社員育成の一環のプログラムを活用し、車両センターや駅社員が連携して発案し計画、実行したといい、配布した缶バッヂなどは1個1個手作りだそうだ。ゆえに本社からのプレスリリースなどはなく、当初は知る人ぞ知るというイベントだったが、回を追うごとに来場者は増えていった。
あいにくコロナ対策で今年に入ってからは一時中断してしまったが、グッズ販売会は最終1本前と最終編成の輸送時に再開され、大盛況の様子だった。イベントの開催は、「205系は引退するのではなく、ジャカルタに譲渡され活躍している」ことを知ってもらえるように取り組んだという。一部の駅には205系の武蔵野線引退を記念するポスターが掲出されたが、そこにも「ラストラン」の文字はなく、「ありがとう」「海外事業者への譲渡」としているのも印象的だ。
ポスターには各駅で異なる手書きのメッセージも書き加えられており、新天地での活躍を願うものが多い。やはり、現場レベルでこういう思いがなければ、単に車両をくれてやった、で終わってしまう。これが海外人材育成に直結するとは言い切れないが、内向きとも揶揄されがちな鉄道の現業職場において、大きな一歩であると感じる。
JR東とKCIの関係は続く
今回の武蔵野線車両の引退により、JR東日本に所属する大部分の205系が消滅した。今後はこのように大規模な車両譲渡は実施できない見込みも高く、まして日本国内で「ジャカルタ行き」グッズが発売されることはないかもしれない。しかし、JR東日本とKCIの協力関係はこれで終わりではない。
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