鉄道「ビッグ3」、2社統合で勢力図どう変わる? 欧州委、アルストムのボンバルディア買収承認
欧州委員会(EC)は7月31日、鉄道メーカー大手のアルストム(フランス)によるボンバルディア(カナダ)の鉄道事業部門、ボンバルディア・トランスポーテーション(本拠地ドイツ)の買収を承認した。買収額は58億~62億ユーロ(約7300億~7800億円)になるという。
アルストムとボンバルディアは、どちらも総合鉄道メーカーの「ビッグスリー」の一角を占める大企業。買収により、現在世界最大手の中国中車(CRRC)に次ぐ規模となる。
鉄道メーカーのシェアにおいて、過去数年間はCRRCの独り勝ちという状況が続いていたが、2社の合併により、欧州企業がCRRCへ迫ることになる。これは以前から、中国の独り勝ちを快く思っていなかったフランス・ドイツ両政府にとっても、望みうる最高の結果になったと言えよう。
破談した合併計画と何が違う?
だが、かつてアルストムがシーメンス(ドイツ)との事業統合を試みた際、欧州委員会はノーという回答を出し、2019年2月に両者の合併は破談となってしまった。いったい、前回と今回で何が明暗を分ける結果となったのか。
欧州委員会が最も懸念していることは、欧州域内に競争原理が損なわれるほどの巨大企業が誕生することで、その市場を1つの企業が独占し、他メーカーとの競争が著しく阻害されることだ。
実際、アルストムとシーメンスは取り扱う製品の多くが重複していたうえ、とくに世界的に需要が高い高速鉄道という分野で、欧州においてその代表格と言えるTGVとICEをそれぞれ製品として保有していた。
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