鉄道「ビッグ3」、2社統合で勢力図どう変わる? 欧州委、アルストムのボンバルディア買収承認

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ところで、今回アルストムに買収されることになったボンバルディア・トランスポーテーションとはどのような会社なのか。一回おさらいしてみよう。

イノトランス(国際鉄道見本市)会場内のボンバルディア・トランスポーテーションのブース。来年4月に延期されたイノトランスでは、統合されたブースになるのかが注目される(筆者撮影)

一般的には、ボンバルディアはカナダの重工業メーカーとして紹介されることが多く、とりわけ航空機メーカーとしてよく知られている。もちろん、ボンバルディアがカナダの会社であることは間違いない。だが、総合鉄道メーカーとして知られるボンバルディア・トランスポーテーションは本社機能など中枢機関をベルリンに置いており、また主な市場は欧州であることから、ドイツメーカーとして考えるべきだろう。

なぜなら、鉄道メーカーとしてのボンバルディアの歴史は、欧州域内に無数に存在した中小規模のメーカーが合併・買収を繰り返して規模を拡大していった結果成り立っているためだ。それらを最後に1つにまとめ上げたのが現在のボンバルディア・トランスポーテーションである。カナダの資本ではあるが、技術も本拠地も欧州なのだ。

統合後の業界勢力図は?

アルストムもシーメンスも、ボンバルディアと同じような経緯で成長を遂げた結果、3社で世界シェアの半分以上を占め、「ビッグスリー」と呼ばれるようになった。だが、中国が国内の鉄道メーカーをすべてまとめ上げCRRCというモンスター企業が誕生、折からの高速鉄道建設ラッシュなどを受け、ほぼ9割を国内需要が占めるにもかかわらず瞬く間に業界トップに躍り出た。

現在では、ビッグスリーと呼ばれた3社はCRRCの後塵を拝し、それどころかその他のメーカーにも後れを取るようになってきた。

市場調査会社SCIフェアケール社が、両社が手を結んだ後の世界シェアを分析したところ、CRRCのシェア1位は揺るぎないものの、2位にはアルストム+ボンバルディアが入り、3位には成長著しいトランスマッシュホールディング(ロシア)が入る。シーメンスはかろうじて4位をキープし、その背後にはトリニティ・インダストリーズ(北米)が迫る。

以下、6位がシュタドラー(スイス)、7位日立(日本)、8位グリーンブライアー(北米)と続き、ゼネラル・エレクトリック・トランスポーテーションを買収したワブテック(北米)が9位にランクされる。近年はますますメーカー同士の統合や買収が増えてきており、トップ10企業は今後も合従連衡の傾向が続いていくことが予想される。

橋爪 智之 欧州鉄道フォトライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

はしづめ ともゆき / Tomoyuki Hashizume

1973年東京都生まれ。日本旅行作家協会 (JTWO)会員。主な寄稿先はダイヤモンド・ビッグ社、鉄道ジャーナル社(連載中)など。現在はチェコ共和国プラハ在住。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事