鉄道「ビッグ3」、2社統合で勢力図どう変わる? 欧州委、アルストムのボンバルディア買収承認
なお、英国の高速鉄道2期線(HS2)プロジェクトにおいて、日立はボンバルディアと高速列車の共同開発、および事業への共同入札を行う予定となっているが、これらの製造にかかわる知的財産のライセンス一式については、日立側へ提供する意向を示している。
ボンバルディアはこのほか、ドイツやオーストリアなどのドイツ語圏で人気の連接式電車「タレント3」プラットフォームについても、ベルリン・ヘニングスドルフ工場の製造設備もすべて含めた他社への一括譲渡を申し出ている。
一方、アルストムはフランス国内のローカル線向け車両で「レジョリス」の愛称で知られる連接式電車「コラディア・ポリヴァレント」を、製造するレッシュショフェン工場も含めて他社に譲渡することが決まっている。同車両は、欧州各国のすべての電化方式に対応するとともに、ディーゼルエンジンとの併用で非電化区間での走行も可能なバイモード仕様も選べる万能車両で、アルジェリアやセネガルなどアフリカ諸国へも販売されている。
欧州委の懸念をクリア
こうした両社からの数々の条件提示を精査した結果、欧州委員会は「懸念していた問題点に対してきちんと対処している」と判断した。
前回のアルストムとシーメンスの統合計画は両社の対等合併で、前述のとおり市場に大きな影響を与える懸念があった。それと比較して、今回はアルストムによるボンバルディアの完全な買収である。また、市場における影響力も、ボンバルディアはシーメンスほど大きくなかった。今回の買収は2021年前期までには完了できると予想されている。
なお、ボンバルディア・トランスポーテーションの株式を32.5%保有する、カナダのケベック預金・投資基金(CDPQ)はすでにこの買収を承認しており、買収後は資本の18%を保有するアルストムの筆頭株主になる。CDPQはまた、買収後に20億ユーロ(約2500億円)以上の投資を行うと述べている。
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