「車内販売」消える日本、維持するヨーロッパ 採算は度外視、「鉄道の付加価値」として存続
JR東日本は5月28日、新幹線および在来線の車内販売において、7月1日からホットコーヒーの販売を中止すると発表した。また、北陸新幹線「はくたか」「かがやき」で継続して販売していた弁当やサンドイッチなども、同じく7月1日から販売中止になるという。今後は缶やペットボトル入り飲料と、スナックだけの販売となる。
ここ最近、JR各社の車内販売が整理縮小されるというニュースばかりで、またかという思いだ。JR東日本の説明によると、駅構内の売店やコンビニエンスストアの普及により、乗車前に買い物を済ませてしまう乗客が増えたことで、車内販売の売り上げが落ち込んでおり、今回ホットコーヒーの販売中止に踏み切ったとのこと。すでに定期列車から食堂車はすべて姿を消しており、いよいよ車内で飲食物を調達するのが難しくなってきた。
欧州も一時は廃止が続いたが…
日本の駅売店やコンビニエンスストアは、世界中を見渡しても比肩しうるものがなく、世界一の充実度を誇ると言っても過言ではない。この点について、JR側が説明する車内販売の衰退原因の1つ、という話は間違ってはいない。
とはいえ、車内販売の縮小・撤退は、本当に正しいことなのか。もちろん、大赤字を垂れ流してでも継続すべきだ、とは言えないが、いささか疑問が残ると言わざるをえない。車内販売が営業されるのは優等列車の車内であるが、少なくとも「特別急行」たる特急列車なら、料金を徴収している以上、最低限のサービスとして車内販売は必要ではないのだろうか。つまり採算が合うかどうかではなく、サービスの1つとして考えるべきではないか、と筆者は考える。
では、日本と同じように発達した鉄道網を持つヨーロッパの車内供食事情はどうなのだろうか。
ヨーロッパもまた日本と同様に、近年は駅構内の飲食店や売店などが充実してきた。またそれに輪をかけるように、高速列車網が急速に発達、列車の所要時間が短縮されて以降、むしろ日本より一足早く、車内ケータリングは衰退の一途をたどっていた。21世紀になってから、一時期は車内販売や売店、食堂車が次々廃止されていった。
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