「黄色い電車を見ると幸せになれる」という“伝説”がある。
最もよく知られているのは、東海道・山陽新幹線を走る「ドクターイエロー」だろう。白地に青帯の車両が行き交うなか、黄色が目を引くドクターイエローは、乗客を運ぶのではなく、新幹線の線路や架線、信号設備などをチェックすることが目的である。そのため、視認性が高く注意を促す黄色に塗られている。道路の維持管理を行う自動車が、黄色に白帯を巻いているのと同じ理由だ。
京急にある「黄色い電車」
ほかにも、設備の検査測定やメンテナンスに携わる車両(乗客を運ぶ営業用車両に対し、事業用車両と呼ばれる)に、ドクターイエローのような黄色ベースの塗装を施す会社は多い。こうした車両は、定期的に毎日動いているわけではなく、いわば“神出鬼没”。走っているシーンを見かけること自体がレアであるゆえ、冒頭のような伝説が生まれたのだろう。
首都圏の大手私鉄、京浜急行電鉄(京急)も、黄色い事業用車両を持つ会社の1つだ。そして、同社の事業用車両は、他社とは少し違う使われ方をしている。
10月のとある日、横浜市神奈川区の神奈川新町駅近くにある新町検車区を訪れると、そこには「デト11・12形」(以下「デト11形」)と呼ばれる事業用車両がいた。デは電動、トは無がい車(トラックのト)を意味するという。全体が黄色く塗られ、中央部に京急のシンボルカラーでもある赤い帯が巻かれている。
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