「この車両は、1988年に製造されました。車体部分は新たに作ったものですが、一部の部品はかつて当社の主力車両だった旧1000形のものを活用しています」と、同社広報部の渡辺栄一さんが教えてくれた。
よく見ると、前面下部にある標識灯や側面などの扉は、確かに旧1000形のそれと同じに見える。ちなみに、デト11形に部品を譲った車両は、旧1000形の中でも最も初期の、旧800形として製造された1095号車と1096号車である。かつては台車や制御機器も流用していたが、旧1000形が引退した2010年に更新工事が行われ、1500形からの流用品に交換された。
運転台も旧車両を活用
乗務員室に入る。運転台には片手操作式のワンハンドルマスコンが設置されていた。こちらは、「ダルマ」の愛称で親しまれ、2019年に引退した800形のものだという。一端には、後部車両との連絡用に放送装置が設置されているが、こちらも他車から流用されたため、営業列車で使われていた各種案内放送のボタンが残っており、なかなか興味深い。
京急の電動貨車「デト11・12形」
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窓や扉などは旧1000形のものを流用して製造された
(筆者撮影)
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パンタグラフは更新工事の際、より新しい
シングルアーム式に交換された(筆者撮影)
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久里浜方のデト11号にはパンタグラフが搭載されていない
(筆者撮影)
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新1000形と並んだデト11形。全く異なる
カラーリングが目を引く(筆者撮影)
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品川方のデト12号。非貫通の3枚窓が特徴だ
(筆者撮影)
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前面下部に京急車の特徴だったアンチクライマーを装備する
(筆者撮影)
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デト11形の運転台。マスコンハンドルは
800形のものを流用している(筆者撮影)
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既存車両の放送装置を流用したため、営業運転時に
使っていた設定用ボタンが残る(筆者撮影)
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荷物室の内部。職員用のイスも設置されている
(筆者撮影)
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荷物室の扇風機にはかつて使用されていた
「KHK」マークが残る(筆者撮影)
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荷物室の外部にはLEDの作業灯を設置。
仕切り扉は旧1000形の貫通扉だ(筆者撮影)
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側板は開閉可能で、荷物の積み下ろしが容易にできる
(筆者撮影)
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デト11形の連結部分。小さなデッキが設けられている
(筆者撮影)
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側板はトラックの荷台のように開くことができる
(筆者撮影)
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台車は更新工事によって1500形のものへと交換された
(筆者撮影)
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1500形と同様の台車に交換されたことが
形式名からもわかる(筆者撮影)
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デト11号の車端部の銘板。すべてエッチング製と
なっている(筆者撮影)
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デト12号の銘板。部品を流用した1059号のものが
残っている(筆者撮影)
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側面にはかつて使用されていた「KHK」マークが今も残る
(筆者撮影)
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特徴的なスタイルをしたデト11形の側面
(筆者撮影)
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