いまから2年前の2018年春、京浜急行電鉄で35年にわたって活躍した「2000形」車両が引退した。
先進的な外観デザインと高級感のある車内設備を売りにして、通常の優等列車のほか、夜の帰宅時間帯に座って帰れる「ウィング号」でも運用され、同社のエース車両として一世を風靡。その伝統は引退したいまもなお、京急の車両に引き継がれている。
斬新なデザインと高級感
2000形は1982年12月、快速特急(現在の「快特」)などの優等列⾞用に、当初は2扉で座席を進⾏⽅向に対して直⾓に配置したクロスシート車として登場した。
外観のいちばんの特徴は、「く」の字に突き出したスピード感ある前面の形状だ。ヘッドライトは尾灯とセットにして運転席の大きな窓の下に2つ配置した。それまでの京急車両は中央上部に1灯が伝統的なスタイルだった。ドアは従来の片開きでなく、京急で初めて両開きを採用した。
車内は座席が車両中央に向いた「集団見合い形」と呼ぶ固定式のクロスシートで、有料特急のような側面の大型窓に横引きのカーテン、天井の照明カバーなどが高級感を醸し出した。足回りは、4年先輩にあたる「800形」で初採用した省エネルギーの界磁チョッパ制御をベースにしたが、モーターの出力を高めるなど高速性能を重視。設計上の最高速度は時速130kmに引き上げられた。
有料特急のような⾞内設備と⾼速性能、斬新な外観デザインなどが評価され、翌年に「鉄道友の会」が選ぶ「ブルーリボン賞」を同社で初めて受賞した。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら