「南武線スマホ紛失」海外の発見者は人生激変

日本とジャカルタの懸け橋としてTV出演も

インドネシアKCJで第2の人生を送る205系(筆者撮影)

日本の鉄道車両や運行システムの優秀さが世界で認められ、さまざまな国に輸出されている。筆者も2016年8月24日に「鉄道最前線」で配信された記事「南武線でなくしたスマホが海外にあったワケ」で、インドネシアに日本の鉄道ノウハウが輸出され、根付いている姿をレポートした。

だが、その現場では今、ある悩みが生じているという。

中古車両は安定調達が難しい

舞台は2017年3月。首都ジャカルタ近郊を走るジャカルタ首都圏鉄道会社(KCJ)。「日本のシステムを導入することで、旅客需要は着実に伸びています。しかし、それに見合う適切な数の中古車両を導入できないんです」。そう語るのは、KCJの鉄道技師、オマットさん。

あらためて記すが、彼は上記記事の主人公の1人だ。本題に触れる前に、ここでおさらいとしてその記事について触れておきたい。

2015年の年末、JR東日本の南武線で運用されていた205系車両が引退することになった。その運用最終日に乗車した大学生・野田翔太さんは、着席して短時間眠った際にスマホを紛失。どこを探しても見つからず諦めていた。すると翌2016年の春、突然野田さんのフェイスブックにジャカルタから「スマホを預かっている」というメッセージが届いた。

話を総合すると、「シートのすき間に落ちたスマホがそのまま誰にも気づかれずに車両ごと海を渡ってインドネシアに輸出され、その車両の点検をしていたKCJの技師であるオマットさんに発見された。日本式のこまやかなメンテナンス手法をKCJが取り入れたことが幸いしたといえる。その後、オマットさんは知人の日本人の力を借り、野田さんの存在までたどり着いた」とのこと。

このメッセージを受け取った野田さんは、お礼の気持ちを伝えるためにはるばるジャカルタを訪問。オマットさんからスマホを受け取り、温かな交流をした。

そのオマットさんが勤めるKCJでは現在、JR東日本や東急電鉄、東京メトロなどから導入した中古車両で、運行のほぼ100%を賄っている。なぜなら、「日本製の車両は本当に信頼性が高いので」(オマットさん)。

とはいうものの、今後も永続的にまとまった数の中古車両が入手できるかは、日本の鉄道事業者の車両更新計画に依存せざるをえない。そこに不安を覚えているという。

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