まだまだ現役「205系」、国鉄末期の画期的通勤車 かつては山手線や埼京線など首都圏でも大活躍

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ところで、引退した205系は103系や201系などと同様に解体の道をたどるものと多くの鉄道ファンは予想していたが、思いもよらない結論が待っていた。なんと、大半の車両がインドネシアに輸出されたのである。その総数は800両を超え、205系の半数以上が海を渡ったことになる。

船積みは当初新潟東港で、後に千葉中央港で行われ、各地の車両基地から港へ向かう一部の車両は行先表示部分に「ジャカルタ」などと表示。これを一目見ようと、駅や沿線は鉄道ファンでにぎわったが、2020年10月にその輸送も終了したことで、“205系フィーバー”は終わりを告げた。

さて、ここまではJR東日本での話だが、前述の通り205系は国鉄時代に京阪神地区へも投入されている。この0番代はJR西日本に継承され、東海道・山陽本線の各駅停車として活躍。一方で1988年には阪和線用として、一部の仕様を変更した1000番代が製造された。最大の変更点は前面のデザインで、助士席側の窓が拡大され、客室との仕切り部分も窓が大きくなっている。

現在は奈良線で活躍

0番代は、東海道・山陽本線と阪和線との間で転属を繰り返した後、2018年に奈良線へと転属。これに先立ち、1000番代も奈良線へと活躍の場を移した。一時期、0番代の帯は321系などと同様のものに変更されていたが、現在はスカイブルーに戻されている。

ただし、奈良線のラインカラーは黄緑色であり、山手線を思い起こさせる姿への変更を望んでいた一部のファンには期待外れとなった。また、1000番代と区別するため0番代は前面にオレンジ色の細帯があり、オリジナルのイメージとも若干異なっている。

205系の車内はリニューアルにより製造時と印象が変わった(筆者撮影)

両番代とも車内はリニューアル工事を実施済み。手すりや吊り革の大型化、座席端部への仕切り設置に加え、車いすスペースの設置なども行われ、安全性やバリアフリー面での機能強化が図られた。同じく奈良線で活躍する221系が3扉クロスシートなのに対し、205系は103系と共に4扉ロングシート。ともすれば乗客から疎まれそうだが、ドア数や定員の多さから朝ラッシュ時や観光シーズンの多客時には力を発揮している。

首都圏に比べて、関西ではどちらかといえば存在感の薄かった205系だが、製造から35年が経った今も、貴重な戦力として第一線で奮闘している。オリジナル顔の0番代と、JR西日本でしか見られない1000番代。彼らの活躍は、もうしばらく続きそうだ。

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伊原 薫 鉄道ライター

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いはら かおる / Kaoru Ihara

大阪府生まれ。京都大学交通政策研究ユニット・都市交通政策技術者。大阪在住の鉄道ライターとして、鉄道雑誌やWebなどで幅広く執筆するほか、講演やテレビ出演・監修なども行う。

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