すぐ「できない」と言う子を変える声かけのコツ 五輪選手を生むメンタルコーチの指導法とは

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また、子どもが自分ルールに凝り固まり、どうしても一歩を踏み出せないときには、次のような問いかけも有効です。

「本当にあなたが信じていることは正しいの?」
「うん、正しいと思う」
「じゃあ100%正しいと言い切れるの?」
「100%じゃないけど……」
「それってあなたが思い込んでいるだけじゃない?」
「ん……」
「じゃあ、世の中の人がすべてそう信じていたらどうなると思う?」
「いやあ……、それはそれで……」

こうして聞くと、子どもはやがて気づくはずです。

注意したくなってもグッと我慢で「改善点」を

「少し注意しただけでやる気を失ってしまう」という声もよく聞きます。

例えば、ピアノの練習をしている子どもに、「いつもここで失敗しちゃうよね」「もっと感情を込めて弾けないの?」などと声をかけてしまっていませんか?

スポーツの世界では試合が終わると、とくに負けたときには、よく反省会が開かれます。何がいけなかったのか、問題点を指摘し合うのです。これは一見いいことのように見えますが、誰だってダメ出しされると嫌な気分になります。

「おまえはここが悪かったな」

こう言われてうれしくなる人がいるでしょうか。親御さんは少しでも上達してほしくて注意するのでしょうが、度重なると、子どもはピアノを弾くのが嫌になってしまいます。これでは元も子もないですね。何事も楽しくなければ上達しません。

ですから、ダメ出しや注意ではなく、気持ちが明るくなるような、もっと弾きたくなるような声かけが必要です。

私がアスリートのコーチングをするときは、もちろん、ダメ出ししたりはしません。反省を求めることもありません。反省はネガティブな感情を呼び起こし、かえってモチベーションを下げてしまうからです。

『脳科学×心理学 うちの子のやる気スイッチを押す方法、教えてください!』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

代わりに、つねに改善点を示すように心がけています。ネガティブな発言をされたら、「そこはマイナスではなくて伸びしろってことだよね!」「そこを伸ばしていけばさらによくなるよね!」と、改善できるところを見つけてあげるのです。すると、選手たちはもっとうまくなれるという希望を持ち、一層ポジティブに取り組みます。

逆に、課題を指摘され続けると、「おまえはダメだ」というレッテルを貼られているような気分になり、次第にやる気が失せてしまいます。

これは、スポーツにかぎらず、習い事にも勉強にも言えます。同じことを言っていても、伝え方によってずいぶん印象が違ってきます。

「あなたの弾き方はメリハリがないのよ」

「ここでもう少し強弱をつけられると、もっとよくなるね」

どちらの言い方が、子どものやる気をかきたてるか、明らかですね。こうして改善点が見つかると、「じゃあ、どんな練習をしようか」と気持ちが前向きになります。

・ダメ出しするのではなく改善点を拾い上げる
・気持ちが前向きになるような声かけを心がける
・悪いところばかりではなく、よいところを探す

この3つを心がけ、ぜひ、子どもたちの「やる気」を引き出してあげてください。

鈴木 颯人 スポーツメンタルコーチ、Re-Departure合同会社代表、一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会代表理事

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すずき はやと / Hayato Suzuki

1983年、イギリス生まれの東京育ち。自身の経験をもとに、脳と心の仕組みを学び、勝負所で力を発揮させるメソッドを構築。スポーツメンタルコーチとして、これまで1万人以上のスポーツ選手を指導してきた。また、保護者や指導者、先生を対象に、メンタルコーチングも教えている。14万人以上のTwitterフォロワー、1万9000人以上のFacebookフォロワーを持つ。著書に『科学×心理学 うちの子のやる気スイッチを押す方法、教えてください!』(かんき出版)、『一流をめざすメンタル術』(三五館)などがある。

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