横浜のタクシー「観光客減も意外に稼げる」秘密 流転タクシー第10回、コロナ禍の横浜の実情

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「伊勢佐木町の商店街なんか見ていても、人は結構いるんですよ。でも、飲み屋街に入っていくと、ガラガラで閉まってるお店も多い。夜に関内周辺で付けていても、人は乗らないのでここにも来る頻度も減りました。10月くらいまでは、接待を目的とした企業の方などの「関内発着」が多かったけど、今は22時以降に期待できませんね。

週末でも閑散としていた関内駅の周辺(筆者撮影)

この地域で興味深いのは、今年の頭頃から出張なんかで来られた人や、他県から来た人に『横浜港に寄って欲しい』と言われる機会が増えたことです。

その理由を聞くと『ダイヤモンド・プリンセス号が停泊していた場所を見てみたい』と言われる方が多くて。今は中に入れないので、車中で遠目からその場所を見て、『ここからコロナが広がったんですね』と言われるわけ。

私にはなかなか理解し難い感覚ですが、悪い意味で全国区になり、世界中に知れ渡ってしまったので複雑ですよ。ベイブリッジから横浜の夜景が一望できる大黒ふ頭は、私にとっては気分転換したい時に立ち寄る、特別な場所ですから」

他県よりも客単価が高いのが特徴

駒田さんは、これまで3つのタクシー会社で勤務してきた。昨年度の12月などは、日の売り上げが7万円を超える日も珍しくなかった“稼ぐ”ドライバーでもある。それでも、今秋は4万もあれば御の字だという。

駒田さんが横浜のタクシーの特徴として挙げるのは、無線配車の数が多いこと。そして、他県よりも高いという客単価だ。

「転職したのは、歩合が少しでも高い会社でやりたかったからです。2社目では月平均で110万円近く挙げていた。ただ、歩合が50%を少し超えた程度のため、手取りは60万円に届かなかった。自分はできる、といううぬぼれがあったんでしょうね。

転職後は歩合は高くなりましたが、その分無線が入らなくなり稼げなくなった。横浜では会社の力の比重により、歩合の比率が変わってくるということです。コロナ蔓延の影響として、会社の倒産、リストラなどを理由に、タクシー業界に来る若いドライバーが増えたと感じています。

この間も20代の新人の女の子が、仙台までという20万級のお客さんを引いていましたから。それは極端な例としても、感覚的に5000円を超えるような長めの方が占める割合は他県よりも多いと思います。

先月静岡に行った際にタクシーを利用したら、一日で2万円も超えないと言っていた。東京の知人ドライバーも短距離ばかり、と嘆いていた。そう考えると、横浜はまだ恵まれているのかな、と」

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