7月から回復してきて、10月は感覚的に8割くらいの売り上げに戻った。夜は相変わらずダメですが、高齢者の通院目的や『電車に乗るのが怖い』という人が増え、都内への出勤でタクシーを利用する人が増えたんです。
全体の利用者は減っていますが、そういう“コロナ使い”みたいな乗客層が生まれたことで、だいぶ助かってますね。もっともここまで感染者が増えれば、本来最も売り上げが立つ12月は怖いですが……」
観光スポットではタクシーを利用する必要がない
ベイエリアに位置するみなとみらいなど、洗練された観光地としても名高い横浜だが、意外なことに観光客を相手にする機会はさほど多くない側面もある。当初の予想よりも、外国人観光客の大幅減によるダメージはさほど大きくないという。
吉岡さんが続ける。
「中華街、みなとみらい、赤レンガ、コスモワールド、山下公園など観光スポットが近くに凝縮されてるでしょ。だからわざわざタクシーを利用する必要もないし、街を歩きたいという観光客の人が多いからね。
だから、外人さんが減っても本来の売り上げの1割に影響するかどうかくらいです。私らの感覚だと、結局横浜ってどこまでいっても『来る場所』じゃなくて、『住む場所』なわけ。みなとみらいの辺は子どもの頃からすると激変したし、生まれ育った日吉なんかも全然違う街になったからね。
私が高校卒業した60年くらい前からどんどん人口が増えて、今じゃ当時の倍近い。周りを見ても、どこもマンションばかりでしょ。東京都内に近い北、中心地の中央、西エリアでも住む人の属性も全然違う。市民の間で区のヒエラルキーみたいな感覚も生まれたのはアホらしい。
それでも、これだけ異なる文化圏がある街だから、滅多に人が出ていかない面もあると思いますね」
神奈川有数の歓楽街として知られる関内駅周辺。多くの飲み屋や飲食店、性風俗店などが連なり、当然タクシーの出入りも激しい。ところが週末にもかかわらずネオン街は閑散としており、1つ筋を外れると途端に明かりが乏しくなる。一人で歩くには少し怖さすら感じるほどだ。
主に関内駅、桜木町駅周辺を持ち場とする駒田さん(50代・仮名)によれば、新型コロナウイルスの影響で最も打撃を受けたエリアはこの近隣だという。そして、駒田さんにとって最も横浜を感じられる場所である「横浜港」にも変化が生まれつつある。
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