不動産屋に「あくどいイメージ」が付きまとう訳 一方で消費者の意識にも多少の問題がある
インターネットで「不動産屋」「印象」と検索してみよう。すると「怖い」とか「うさんくさい」とか、ネガティブな意見が数えられないほど表示されることと思う。
国土交通省の平成27年度(2015年度)「土地問題に関する国民の意識調査」によると、およそ6割の人が不動産取引への印象としてネガティブな回答をしていることがわかる。
内訳は「難しくてわかりにくい」が29.4%であり、「なんとなく不安」が30.4%だ。「難しくてわかりにくい」もしくは「なんとなく不安」と答えた人になぜそう思うか、その理由を聞いた結果が図1となる。
不動産の売買をする際、現状では不動産屋とのやりとりがほぼ付いてまわる。そしてそのやりとりにはトラブルが付き物だ。
実際、国土交通省は「不動産トラブル事例データべース」というサイトを通じ、消費者と不動産屋との間で起きたトラブル事例を紹介し、消費者へ注意を喚起している。また公益財団法人不動産流通推進センターも同じように「不動産ジャパン」というサイトで「トラブル事例集」を公開している。
そして、そこに掲載された数々の事例を見る限り、「不動産屋があくどい」というのは、単にイメージだけの問題ではなさそうだ。
不動産屋と一緒にいる間に積み重なる人件費
しかし、不動産の売買を相談する消費者の意識にも、多少の問題があるのは確かである。
たとえば不動産屋に行って、家の売買や賃貸を相談すれば、物件の紹介や説明をしてくれるし、ときには車を出し、内見へと連れていってくれることもあるだろう。もちろんそのときの費用は無料とはいえ、そこには必ず「人件費」が発生していることを忘れてしまいがちだ。
1時間、英語学校へ行って個人レッスンを受ければ数千円、弁護士に相談すればそれ以上かかるのと同様、不動産屋も商売である以上、社員が動けば、動いた分だけお金がかかるのである。
では途中かかった人件費を負担しているのは誰か。購入を検討している人が払うかというとそうではないし、どこの不動産屋だろうと内見の時点でお金を請求してくることはない。というのも、不動産業の核をなす宅建業法で、契約が成立する前に不動産屋が仲介手数料をもらうことは固く禁じられているからである。
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