キリンとサントリー「テレビの掟破り共演」の訳 テレビ東京のドラマで一緒にスポンサーに
「TwitterなどSNSでの反響に質の違いを感じました。単に『面白い』ではなく、『サントリーが好きになった』『今度、買ってみようと思う』という言及が見られました。通常、1つの広告企画ではそういうことは起こりません」と手応えを実感する長野氏。
サントリーの顧客相談窓口には「今までにない面白い取り組みだ」などのポジティブな意見が複数寄せられたほか、「テレビCMを出稿しているほかの広告主、地方放送局、広告代理店からの反響も大きかった」(前出のキリン越智氏)という。
さらに、キリン、サントリー両社の担当者が異口同音に「想定外」だったと驚くのが流通、小売の現場への波及だった。「視聴者の間で話題になるのはある程度想像していたが、まさか具体的な店頭販促にまでつながるとは思わなかった」(長野氏)
スーパーでの連動キャンペーンもヒット
埼玉県を中心に関東1都7県に約120店舗を展開するスーパーのベルクでは約90店舗で、自前で制作したパネルに自社クリエーターが考案した「美味い方が勝ちだ。」のコピーを打ち出して対抗関係をあおるキャンペーンを実施。ビールの「一番搾り」(キリン)と「ザ・プレミアムモルツ」(サントリー)、新ジャンルの「のどごし生」(キリン)と「金麦」(サントリー)の4種類をキャンペーン価格設定で販売した。
執行役員・営業企画部長の多賀谷真氏は、そのきっかけについて「面白い番組タイトルだと思った。初回放送を見た社長(原島一誠氏)から『売り場を作ってみてくれ』言われ、メーカーさん、テレビ東京さんの同意が得られた段階で一気に動いた」と言う。
その結果は、11月第2週の途中から2週間の売上高を昨年と比較すると、両社ともビールは3割以上、新ジャンルは1割以上増えた。ビールと新ジャンルの合計の売上高は両社とも3割増で、ビール市場全体の売上高の伸びを上回っており、共演NGのキャンペーン効果が現れているといえる。ちなみにビールはキリンの一番搾りが、新ジャンルではサントリーの金麦が勝っている。
12月7日放送の第6回の後提供では、最後に両社ロゴが競い合いを止め、チンとグラスを合わせるような音を発し、乾杯による和解をしたような演出があった。しかし、それはむしろこの広告企画が予想以上に各方面に浸透、支持され大成功したことへの祝杯だったのかもしれない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら