独立直後にがん、笠井アナ支えた「逆転の発想」 東日本大震災で得た経験が闘病に役立った

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12月19日木曜日。なかなか寝付けないまま朝5時を迎えてしまいました。

加藤マネージャーがレンタカーを借りてきてくれて、入院の荷物を積んでフジテレビへ。入院前に「とくダネ!」に生出演し、病状報告するのです。

とにかく体が痛い。特に今日はお尻と右足の付け根の辺りが痛い。日々違う所が痛むのが、内臓がんと違う所です。全身にがんが散らばっているのだから仕方ありません。でも、今日、入院できるのです。それがうれしかった。

鎮痛剤を飲んで出発したのですが、フジテレビについても足が痛いために引きずってしまう状況。それまで病気をひた隠しにして、気づかれないようにと家族と加藤さん以外の前では元気に振る舞っていました。

しかし、前日の新聞報道で病気を隠す必要がなくなったため、緊張の糸が解け、なんだが本当に病人のような雰囲気になってしまいました。人間って不思議なものです。

昔からの仲間が支えようとしてくれている

メイク室の前の廊下では、「とくダネ!」の佐々木明日香ディレクターがカメラと共に私を待っていました。いよいよカメラの前で自分をさらすドキュメンタリーが始まるのです。
覚悟はできています。

あすかは、今から28年も前、私が最初に司会になった「TIME3」の新人ADとしてやって来てからずっと共に歩んできたもっとも古いスタッフの1人(もう一人は藤本和也ディレクター)。ノリだけで仕事をしているような子でしたが(笑)、頭の回転が早く、今では藤本と並んで超ベテランディレクターです。

そんな昔からの仲間が、私のこれからの人生を支えてくれようとしていることに感銘を受けてしまうのです。現代は流行のサイクルも早く、番組もリニューアルされることが普通になって長寿番組がほとんどありません。「とくダネ!」のような長寿番組に携われたことで貴重な人間関係を築けていることを誇りに思います。

楽屋に入り小倉(智昭)さんの所に挨拶に行こうとしたら、光安、永野、尾藤、君島といったディレクターたちが来てくれました。思わず、

「おお、みんな元気か?」と、うれしくて声をかけると、

「笠井さん、逆ですよ」「笠井さんこそ、大丈夫ですか?」と聞くので、

「大丈夫じゃないよ!」と強く返したら大爆笑。やはり、気心の知れた仲間はいいものです。

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