独立直後にがん、笠井アナ支えた「逆転の発想」 東日本大震災で得た経験が闘病に役立った

拡大
縮小
悪性リンパ腫が発覚したとき、笠井信輔さんはどんな心境だったのでしょうか?(写真:石川正勝)
50代でフリーアナウンサーに転身した笠井信輔さん(57)。その直後にステージ4の悪性リンパ腫が発覚します。一時は死を覚悟する、どん底ともいえる状況で、どうやって心の支えを見つけたのでしょうか。そこには東日本大震災の被災現場を数多く取材した経験が生きました。
※本稿は笠井氏の新著『生きる力』から一部抜粋・再構成したものです。

自分のことで精いっぱい

2019年12月17日午前2時25分、55歳と50歳、2人の弟にLINEをする。

夜遅くごめんなさい
色々考えているうちに、時間がおそくなってしまいました
実は……
病気になってしまいました。「悪性リンパ腫」という血液のがんです
フリーになって2か月、いきなりの宣告に「かんべんしてよ」というのが正直な気持ち
全身にがんが散っているらしいので、あちこち痛いんだけど、鎮痛剤でなんとかしてる
負けちゃいられない。このまま消えるわけにもいかない
インスタグラムだけだったけど、ブログも始めます
お袋と親父には、きのう、伝えました。お袋はさすがに泣いてたけどね
夜遅くごめん。とにかく、新聞発表までは、誰にも言わないでね
じゃ、お休み

兄貴から真夜中に突然こんなLINEをもらって弟たちはどんな気分だっただろう。私はといえばもう自分のことで精いっぱい。この後、自分の入院中の様子が毎日のようにネットニュースになるなど考えてもいませんでした。

ましてや、新型コロナウイルスに世界中が汚染され入院中に世の中が一変するなんて。

次ページ日々違う所が痛む
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT