確実にいる「勉強に向かない子」がするべき選択 親が"別にある花"を摘んでいるかもしれない

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筆者の知人に小中学校の成績が、ずっとオール1だった方がいます。その方は、学校の勉強はまったくできませんでしたが、手が器用であったため、小学生の頃にすでに近所の人たちから修理を頼まれるほどでした。

それならば、図工や技術の成績がいいはずです。しかし、完成した学校の課題である木工作品があまりにも完成度が高く、先生に怒られたそうです。なぜなら、「お前はなぜ自分でやらないで大人にやらせたんだ!」と。自分でやったと説明しても信じてもらえないため、「すいません」と謝ったそうです。その結果、成績は1です。

そして中卒で、その後自分の才能を伸ばし、木工職人となり、天皇陛下がお座りになるいすや、屏風を納めた方でも知られる有名な木工職人として現在活躍されています。

この方は「確かに勉強はできなかったが、得意分野があった。それを伸ばしていけばいい」とはっきりおっしゃいます。現在、その方の学び量は尋常ではなく、博識でもあり、有名大学出身の方を指導する立場にもなっています。

確かに、学校の勉強には向いていなかったといえるでしょう。しかし、それだからといって、その人自身が否定されるものではまったくないのです。否定どころか、勉強以外の才能を持ち、それを伸ばしていくことで、結果として後から「学び」がやってくるということを証明しています。

やりたがっていることを“徹底的に”やらせてみる

太田さんのお子さんの場合で言えば、お子さんの才能は「コンピューターやプログラミング」にある可能性が高いと考えていいでしょう。

とくにこれからの時代は、学歴偏重時代をようやく脱却しつつあり、価値観重視の進路選択へとシフトしつつあります。しかし、いまだ昭和時代の経験を引きずり、情報がアップデートされないまま現在に至っていると、自分の過去の経験を眼の前の子どもに投影してしまうこともあります。例えば、中学受験の勉強に向いていないのに、周囲の情報や自分の体験からやらせてしまい失敗してしまったという例は枚挙に暇がありません。

以上から、お子さんは教科勉強という“花”が咲くのではなく、別の才能の“花”が咲くと考えてみてください。そうすれば、現在取っているアプローチがいかに異なったことをやってしまっているかわかると思います。

つまり、「勉強をさせる」というアプローチを捨て、その子がやりたがっているプログラミングを“徹底的に”やらせてみるというアプローチです。日常では勉強という言葉すらいっさい使わず、子どもの意思でやりたいようにさせてみてください。

期間としては2週間程度、試されてみるといいでしょう。これまでの実例では、2週間程度で勉強に向いていないはずの子が、なぜか勉強するようになるという想定外の行動変容がみられる場合もありました。しかし、そのようなことを期待しすぎてもいけません。お子さんの才能を伸ばしてあげること、ここに一点集中してみてください。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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