「病気になりやすい職場」「なりにくい職場」の差 上司の質で「心臓病になるリスク」まで変化する

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「病気になりやすい職場」と「なりにくい職場」の違いとは?(写真:kouta/PIXTA)
人間は環境によって左右される生き物です。実は職場にも「病気になりやすい職場」と「なりづらい職場」があることをご存知でしょうか? 「職場環境」や「上司」が健康に与える影響を福島県立医科大学医学部の大平哲也疫学講座主任教授による新書『感情を“毒”にしないコツ』から一部抜粋・再構成してお届けします。

その人が就いている仕事と病気には、何か関連性があるのでしょうか。職業ストレスと疾患の関係については、さまざまな調査があります。

「ストレスフルな仕事」の条件とは?

スウェーデンで産業ストレスを研究するロバート・カラセック氏が提唱するストレスモデルでは、職業ストレスを「仕事の要求度(仕事量、時間、内容)」と「仕事のコントロール度(裁量など)」の2つの軸から分析しています。

これをそれぞれの特性から、「要求度とコントロール度がともに低い仕事(消極的な仕事)」「要求度が高く、コントロール度が低い仕事(緊張を強いられる)」「要求度が低く、コントロール度が高い仕事(緊張性は低い)」「要求度とコントロール度がともに高い仕事(積極的な仕事)」の4つに分けます。

いちばんストレスが高いのは、「要求度が高く、コントロール度が低い仕事(緊張を強いられる)」でした。仕事の量など負担が大きいのに、コントロール度が低い、つまり自分の裁量でできない仕事です。

逆にストレスをためにくいのは、「要求度が低く、コントロール度が高い仕事(緊張性は低い)」でした。また「要求度とコントロール度がともに高い仕事(積極的な仕事)」は、仕事は大変ですが、自分の裁量でできるため、達成感も得られ、ストレスをためにくいといわれています。

「要求度とコントロール度がともに低い仕事(消極的な仕事)」は、ストレスは低いですが、やる気が削がれてしまうようです。職場などでストレスを改善するには、要求度を下げる、仕事のコントロール度を上げるなどの調整が必要ということになります。

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