超名門大MITが音楽を学ぶ絶好の場と言える訳 創造的な問題解決には人文学やアートが不可欠

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物事の解決策は、過去に学んできたことの延長線上にあるとは限らず、まったく異なる視点から新たな発想が生まれることも少なくない。広い視野を得ることが、将来的にイノベーションにつながるということなのだろう。

MITの人文学・芸術・社会科学部は、学生に身につけてほしいツールキットを、「クリティカル・シンキング(批判的思考)、歴史や他文化への理解、数学と統計を運用・分析する能力、優れた文学者や芸術家の洞察に触れること、実験への積極的な取り組み、変化を受け入れること、曖昧さに方向性を与える能力。そして芸術や人文学で培われる創造力」と位置づけているそうだ。

なかでも「芸術や人文学で培われる創造力」に関して著者は、まさにそのとおりの授業内容と感じたと記している。そして「未来を生きる世代に必要なこと」として4つのポイントを挙げている。それぞれ確認してみよう。

① 自分の身体知を掘り起こす

「この問題を解決したい」「この社会や環境をよりよく変えたい」というような問題意識、発想力、創造力は、自分の感覚で感じ、身体で経験した知や感情から生まれるものである。

したがって重要なのは、幼少期に抱いた好奇心や疑問、自分や家族、友人知人の悩みに共感し、その解決を志したことなどだ。自分の内部の小さな気づきが問題解決の糸口となり、それが新たな社会の創造につながる可能性もある。

自分を知ることが出発点で最も重要

だからこそ、まず自分を知ることが出発点であり、最も重要なことでもあるのだ。そして、そこで音楽が役立つのだという。音楽は、自分の身体感覚や生理的反応を知り、内的な思考を促す機会にもなるからだ。

たとえば、「西洋音楽史」や「ワールドミュージック」「オペラ」には、多くの歌曲が登場する。人間の声の限りない可能性が感じられるだろう。
また、「オペラ」の授業では、人間のあらゆる高揚した感情が描かれているシーンを取り上げている。特に「愛」や「怒り」は、人間の根源的な情動である。
人間にはそんな激しい感情が眠っているのか、そんな強い情動に動かされてさまざまな歴史や文化が積み重ねられてきたのかと知ったり、自分にはどんな情動があるのかと内省したりすることもあるかもしれない。そうした人間の光と闇の部分も含めて、オペラは露骨にまたは抽象的に描き出している。
(275ページより)

単なる音楽鑑賞だけではなく、自分の体験や感覚と結びつけて聴くことも、大切な自己探究の時間になるということである。

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