超名門大MITが音楽を学ぶ絶好の場と言える訳 創造的な問題解決には人文学やアートが不可欠
コンピューターサイエンス専攻の学生が力を発揮したという記述は、どことなく冒頭で触れたトム・ショルツの話を思い出させもする。
いずれにしても、豊かな想像力と創造力が求められる時代には、脳の使い方も変わる必要があるのかもしれない。
従来のような先の見える社会では、教育や就労において左脳が重視されてきた。だが現代は、「どう社会を変えるのか」「どんな未来を創るのか」といった明確な答えのない問いがわれわれに迫ってきている。
そうした状況下で求められるのは、いままでにない発想やイノベーションを生む力、起業家精神など。いわば、右脳がより重視されるようになっているのだ。
そこに飛び込んでいくことは「可能性の領域」への挑戦であり、恐れでもあるだろう。だが、そこにこそ新たな視座が見いだせるかもしれないのである。
MITと音楽との関係を立体的に把握
著者は、海外での音楽教育取材・国際コンクール演奏評をもとに、「音楽で人を育て、社会をつなげること」をテーマに調査研究・執筆・講演などを行う音楽ジャーナリスト。
本書の執筆に際しても綿密な取材を行っているであろうことは、内容の充実度からも明らかである。教授から学生まで、MITに関わる多くの人々から話を聞き、授業内容を具体的に解説し、授業で使われている楽曲のプレイリストまで公開しているのだ。
そのため読者は、MITと音楽との関係を立体的に把握することができるわけである。
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