超名門大MITが音楽を学ぶ絶好の場と言える訳 創造的な問題解決には人文学やアートが不可欠

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② 多様性を受け入れる

一人ひとりは異なる存在であり、それを尊重すべきであるという「多様性」の概念が重要視されるようになって久しい。とはいえ頭で理解してはいても、異なる意見を受け入れつつ最適解を見いだしていくのは決して簡単なことではない。

そのため重要なのは、まず唯一無二の自分という存在を理解すること。そうすれば、他者への理解も深まるからだ。人は一面的ではなく、自分の内部に多くの体験知を抱え、それ自体が多様であるからである。そのことに気づいて向き合えば、結果として視野が広がり、多様性を尊重するという境地に近づけるかもしれないのだ。

世界が多様であることを「知る」

そして多様性を受け入れるために必要なのは、世界が多様であることを「知る」ことだ。

世界にはさまざまな人間、感情、思考があり、それらによって育まれた多くの文化や芸術がある。それを知ることは、世界の多様性を受け入れること。それが、一個人としての意識の変化にもつながるのである。

ワールドミュージックを学ぶ価値は、まさにその点にあるようだ。

そのワールドミュージックの授業で、インドネシアのガムランやセネガルのドラムを体験した学生は、次のように述べている。
「西洋音楽のクラスと並行して、セネガル・ドラムのクラスを取ったことで、違う視点を得ることができました。一見、共通点があるようには見えませんが、音符や書法が対位法に似ています」
「ガムランを演奏しましたが、西洋音楽しか学んだことのない人間にとってまったく未知の体験でした。実際に楽器を見て、弾いてみることで、それが西洋音楽とどれだけ違うかを体感しました。
(279〜280ページより)

そのような体験を経れば、いままで自分が接してきた音楽が、世界に数多(あまた)ある音楽体系のひとつにすぎないことがわかるだろう。地域や時代が違えば、音楽の様式・形式・構成・聴取のされ方などもまったく変わる。そのことを知り視野を広げることで、客観的視点を持つことが可能になる。そして改めて、各々の個性と価値を理解することができるようになるわけだ。

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