「XC40」PHVから見えたボルボ電動化の深謀遠慮 日本導入全車両を完了、クルマと環境の今後

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リチウムイオンバッテリーではなく鉛を使い、回生制動によって回生率を高める電子制御式ブレーキ(ECB)も備えないが、考え方は今と同じ。カタログ上の燃費数値は約12~14%の向上(10・15モード値での比較。現代のWLTCモード値だと伸び代は少なくなる)と心許ないが、販売価格はベースモデルから15万円高に抑えられていた。

一方、現代におけるマイルドハイブリッドシステムの役割は20年前から格段に増えた。これまでハイブリッドカーの主たる目的は燃費数値や走行性能の向上にあったが、今回は各国各地域での法規制に対応するための「一時的な策」としても用いられた。

この先、マイルドハイブリッドシステムが電動化車両と認められる国と地域に制限が付き、さらには期間が限定的であったとしても、法規制には部分的に対応できる可能性が高いからだ。

ボルボが日本で販売する全車両の電動化を完了

そうしたなかボルボは、「全車両の電動化プラン」を2017年7月に発表、2019年モデルからはその具現化を進めた。ボルボは電気自動車である「BEV」、プラグインハイブリッドモデルである「PHV」、マイルドハイブリッドモデルである「MHV」の3パワートレーンに絞った開発に舵を切ったのだ。

「XC40 Recharge Plug-in hybrid T5」(前輪駆動)を名乗るプラグインハイブリッドモデル(筆者撮影)

日本市場では内燃機関のうちディーゼルエンジン搭載車の販売を早々に終了していたが、2020年11月26日、ついに日本で販売するボルボ全車両の電動化が完了したことを発表した。

今回はその電動化車両のうち、「XC40 Recharge Plug-in hybrid T5」(前輪駆動)を名乗るプラグインハイブリッドモデルに試乗した。XC40はボルボSUVラインアップのなかでもっとも小型のSUVで、日本市場では2018年から販売中。ベースグレードである「XC40 B4 48Vマイルドハイブリッド搭載車」の409万円から、今回の試乗モデルの649万円までそろえる。

Recharge Plug-in hybrid T5は、直列3気筒1.5Lターボエンジンに電動モーターを組み合わせ、容量10.91kWh (走行用に使用する容量は8.51kWh )と大きめのリチウムイオンバッテリーを2次電池として搭載する。

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