「XC40」PHVから見えたボルボ電動化の深謀遠慮 日本導入全車両を完了、クルマと環境の今後

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トランスミッションは7速デュアルクラッチトランスミッションで、偶数段側に水冷式の電動モーター(60kW/160N・m)を接続。デュアルクラッチトランスミッションならではの素早い変速に、反応のいい電動モーター駆動を加えることで緻密な走行性能を実現した。電動モーターだけの走行を基本とする「Pure」モードは、偶数段側の2速と4速を使う2段変速方式を用いて135㎞/hまで対応する。

ちなみにデュアルクラッチトランスミッション内に電動モーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、三菱ふそうの小型トラック「キャンター エコ ハイブリッド」(2012年)が世界で初めて量産車として採用し、以降、ホンダ「フィット」も採り入れた。内燃機関と電動モーターの駆動力統合やクラッチ制御が難しいが、小型・軽量化と優れた燃費数値の両立が期待できる。

Recharge Plug-in hybrid T5の走りは頼もしい。1.5Lエンジンだけでも132kW/265N・m、そこに電動モーターが加わるためときに荒々しさも感じた。高速道路の合流車線でアクセルペダルを強く踏み込むと、あまりの駆動力にステアリングが小刻みに左右に振れるなど往年のFFスポーツモデルのような挙動もみせる。

XC40の車内。乗り心地はしっとり系で心地よい(筆者撮影)

しかし、乗り味はXC40シリーズきってのしっとり系で心地よい。94kgの2次電池をはじめプラグインハイブリッド化で重量増が心配されるが、AWD(全輪駆動)で2.0Lガソリンターボエンジン+マイルドハイブリッドシステムを搭載する「XC40 B5 AWD R-Design」からわずか60kg増の1810kgに抑えられた。

実走行での燃費は24.6km/Lを記録

今回の試乗では一般道路/高速道路含めて160㎞を走行。好条件が重なり燃費数値は24.6㎞/Lを記録した。これにはスタート時のバッテリーがフル充電状態であったことも要因として大きく、結果としてカタログ上のWLTC値14.0㎞/Lを大きく上回った。

カタログ上のWLTC値14.0㎞/Lを大きく上回った(筆者撮影)

カタログ上のEV走行換算距離(等価EVレンジ)は41.0㎞、充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)では45.6㎞。総合的に勘案すれば、他のプラグインハイブリッドモデルと同じく、燃費数値は計測開始時のバッテリー充電量(SOC)に左右されることがわかった。なお、Recharge Plug-in hybrid T5は200Vの普通充電のみに対応。SOC下限値である15%から80%まで充電するには2.5~3時間ほどかかる。

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