「ナイジェリア少女拉致」に潜むイデオロギー 英元首相が憂慮する世界への波及

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イデオロギーとは何だろうか。これこそ問題の核心だ。このイデオロギーはイスラム教を表すものではない。イスラム教徒のほとんどはこのイデオロギーに同意していないどころか、嫌悪している。

が、このイデオロギーは組織的かつ巨大で影響力があり、マイノリティであるイスラム教の中の緊張材料だ。イスラミズムと漠然と呼ばれるものは、現代社会と本質的に相いれない宗教の政治問題化に根差している。これは、真の宗教は1つで、その宗教の解釈も1つであり、その解釈こそがあらゆる国の政治、政府機関、社会生活を凌駕・支配すべきだとする教えが信奉されていることに原因がある。

どのように立ち向かうべきか

イスラムのイデオロギーは多様でもある。ボコ・ハラムのような過激派グループがいる一方で、暴力に訴えるのではなく、世界は危険で敵意に満ちているという教えを説くグループもある。

こうしたイデオロギーにどう立ち向かうべきなのか。私の財団は、宗教的偏見、対立、過激主義を阻止するために役立つサポートを提供している。ここ数年ナイジェリアで活動しており、キリスト教とイスラム教の聖職者を集めて相互理解を深める場を提供している。世界20カ国以上で、宗教の異なる子供たちを結び付けお互いを理解させる学校プログラムも実施している。

戦いに解決策がないわけではないが、それが何のためなのかを明らかにすべきだ。欧米諸国は毎年数十億ドルを軍事関係やテロリズム対策に費やしている。が、私たちが戦っている相手は、多くの国の教育制度の中で培われているのだ。

今日において教育とは安全保障問題だ。G20諸国は、宗教的寛容さを促す偏見のない教育を行うことが国の責務であると考えるべきだ。ナイジェリアで拉致された少女たちは暴力行為だけでなく、思想による被害者でもある。

トニー・ブレア
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