PCR検査拡充を敵視する人に知ってほしい難問 無症状者がコロナ感染を広げている現実がある

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本来であれば、法改正を行い、国がエッセンシャルワーカーにPCR定期検査を受ける権利を与えることが理想だ。需要が大きくなれば、コストはさらにダウンしていくはずである。現に、値段は下がってきている。楽天やソフトバンクが1万円を切る値段で販売し始めている。

なぜかPCR検査に対しては、ヒステリックにかみつく勢力がある。彼らの意図するところは明確ではないが、数カ月にわたって説得できないのだから、諦めの心境になっている。各々の病院や施設でできることをやるしかない。

8月には『サイエンス』から「精度よりも頻度のほうが重要である」という論文が出ている。これを支持するデータもかなり集まってきている。

11月20日に学術雑誌『サイエンスアドバンシズ』で発表された研究成果によると、検査頻度の高さと検査所要時間の短さが感染者の効果的なスクリーニングにつながる一方、検査精度の高さは限定的な効果にとどまるという(アメリカ・コロラド大学ボルダー校バイオフロンティア研究所とハーバード大学公衆衛生大学院の研究チーム)。グループは迅速性がむしろ公衆衛生的には重要だとまとめている。

安価な検査キットの登場を期待

検査に求められるものは迅速性と頻度であるようだ。とすれば、抗原検査やちまたで出ているPCR検査を用いて陰性証明をしたうえで勤務することは十分に科学的な姿勢といえるだろう。これからもさらに迅速性と精度を追求した安価な検査キットの登場を心から期待する。

幸い、日本のコロナ感染による死者数は他国と比してそれほど多くない。しかし、コロナ対応により、他疾患の治療がままならなくなることで失う命もあるはずだ。そのためには、病院が安全な場所になることは不可欠だ。

経済活動を維持しながら死者を減らすことにフォーカスすることは不可能ではない。そのためには医療従事者などのエッセンシャルワーカーに頻回検査をするしかない。犠牲者がこれ以上増える前にやる必要がある。

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これまで非科学的な対処法でやってきたがもう限界だ。国民への負担も限界だ。経済力という裏打ちがなければ、思考すらできない。コロナで人が死ぬ確率は低い。交通事故よりも死者は少ないのだから。しかし、経済で人は死に至りうる。自殺数の著増がすべてを物語っている。

私は経済政策などには門外漢であるが、コロナ対策こそが最大のファイナンスであるとの認識を持っていただけることを切に願う。経済を循環させつつ、死者を減らすモデルを日本から発信すればいい。好機かもしれない。自助を受け入れる日本人の精神と科学的姿勢が合わされば、世界へ発信するモデルになるかもしれない。ここは楽観的にいきたい。

原田 文植 医師・医学博士、福島県立医科大学 災害支援講座 助教

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はらだ ふみうえ / Fumiue Harada

1971年、大阪生まれ。福島県立医科大学 災害支援講座 助教。医師・医学博士。内科認定医。認定産業医。スポーツ健康医。在宅医療認定医。1998年大阪医科大学卒業。2005年大学院終了。国立感染症研究所研究員にてフラビウイルスの研究に従事。2008年より地域医療に従事し、診療所で発熱外来なども積極的に導入。執筆活動、武道家・格闘家との交流、映画出演、都内を中心に音楽ライブ活動など幅広く活躍。

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